ある程度予想はしてましたが、思ったより早く、この課題が顕在化してしまいました。
再生可能エネルギーの発電量(接続申込み量)が増えすぎたらシステムが不安定になるので受け入れられなくなるという話です。
九州電力からは以下の報告がありました。
本年3月の1か月間で、それまでの1年分の申込み量に相当する約7万件もの太陽光の接続契約申込み(以下、申込み)が集中したことから、内容の詳細を確認してまいりました。その結果、7月末現在の申込み量が全て接続された場合、近い将来、太陽光・風力の接続量は約1,260万kWにも達することが判明しました。これらの全てが発電すると、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れ、電力を安定してお届けすることが困難となる見通しです。
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ただし、ご家庭用の太陽光(10kW未満)などは、当面回答保留の対象外とします。
1260万KWって、すごい量です。
九州電力のこの夏の電力需要は、1670KWくらいらしいので、かなりの割合を占めうる状態になるということです。
この再生エネルギーの受け入れを中断する動きは、東北電力、四国電力も同じです。
関西電力はまだ制限していないようですが、時間の問題でしょう。
再生エネ、受け入れ制限せず=送配電網に余力―関電 (時事通信) - Yahoo!ニュース BUSINESS
☑︎なぜ、受入制限が必要か?
以下の記事が参考になります。
出力が変動しやすい再生エネからの電気の調達量が増えすぎると、周波数の乱れや停電の原因となり、利用者への電力の安定供給に支障が生じかねない。
つまり、電気は需要に対してマッチするような供給を行う必要がありますが、太陽が照ったり陰ったりで、出力がコロコロ変わるものが発電量の大部分を占めた場合、需要を超えた供給をしてしまったり、足りなくなったりして停電になりかねないのです。
あとは、周波数の乱れ(60HZ)が出てくるので、電気機器に必要な品質の良い電気が送れなくなるという懸念があるのです。
だから、一旦、受け入れは中断されてしまいました。
そもそも、気まぐれな再生可能エネルギーだけには依存できないので、ベースロード電源として、火力や原子力がどうせ必要になるのですが、ベースロード電源による電力は、そんなに早く出力を調整できないわけです。
☑︎どうすれば多くの再生可能エネルギーを受け入れられるか?
この問題に早くから着目した研究が宮古島でなされてます。
第3回「再生可能エネルギーはどこまで導入可能?~宮古島で未来のエネルギー環境を想定した先進的な実証が進行中」 - 都市・地域の挑戦 - 日経スマートシティコンソーシアム
結局、蓄電池をバッファにして変動を抑えようというのが今の答えです。
問題は、蓄電池もコストがかかるので、どこが変動を抑える役割を担うかということです。
今更、再生可能エネルギー業者に、変動が小さいことを条件に電力を買い取りますと言えるのでしょうか?
本来は安くて変動の少ない電力を優先して買い取るのが自然なのでしょうが、固定価格買取制度がこのバランスを崩しています。
この制度を設置したときに、この目論見はどうだったのでしょうか?
まさか、高い値段で再生可能エネルギーを買い取らせた上に、この安定化のための蓄電池まで、電力会社に費用を持たせるのではないことを祈ります。
結局、電気代として、我々に跳ね返るだけなのですから。
以下の記事のようにドイツなどでは限界も見えてきています。
脱原発の欧州各国はすでに限界 再生可能エネルギー依存の結末は「電気料金アップ」 | ザ・リバティweb
受入量を増やすには、蓄電池などの対応が必要ですが、コストが課題になることはドイツの先行例で見えてますから、日本としてこの再生可能エネルギーをどこまで推進するのか。もう一度、再検討する時期に来ているようです。
今日はいじょうでーす。