インターネットの動画配信サイト「FC2動画」を実質的に運営していたとされる大阪の会社が9月30日、「公然わいせつほう助」などの容疑で、京都府警の家宅捜索を受けた。
報道によると、家宅捜索を受けたのは大阪市のインターネット関連会社「ホームページシステム」。同社社長らは、2014年6月、ライブチャット配信業の男性らが性行為の映像をライブ配信するのを手助けした疑いがもたれている。FC2はこれまで、アメリカのラスベガスに本社があるとされていたが、警察は実質的にこの会社が運営主体だったとみているようだ。
今回のほう助、すなわち「手助け」とは、利益を得るために違法ライブを放置したことだという。動画配信サイトの運営者は、違法なライブ配信を制止しないと罪に問われるのだろうか。また、動画配信サイトが数あるなか、なぜFC2が摘発されたのだろうか。FC2に対する仮処分命令の申立で、代理人をつとめた経験がある最所義一弁護士に聞いた。
●性行為のライブ配信をすることを、FC2は予見できたはず
「違法動画を動画サイトでライブ配信した人が罪に問われるのはもちろんですが、その『場』を提供する動画サイト運営者も、こうしたライブ配信の存在を知りつつ放置した場合には、ほう助犯として刑事責任を問われることになります」
なぜ放置しただけで、罪に問われるのだろうか。
「動画サイトの運営者には、自分のサイトで違法な動画が配信されていたことを発見したら、削除する義務があるからです」
今回は、性行為のライブ配信を放置したことが「ほう助」とされているようだ。しかし、録画保存されている動画と違って、リアルタイムに事態が変化していく「ライブ配信」を監視して、違法行為があればすぐ削除するというのは、不可能ではないだろうか。
「たしかに、その一回だけを見ればそうかもしれません。
しかし、6月に性行為をライブ配信したとして公然わいせつの罪で逮捕された男性は、それまで何度もFC2で同様のライブ配信を行っていたようですし、FC2もいかなる形にせよ対価を支払っていたようです。
また同じようなライブ配信をするだろうと予見しながら、『あえて放置していた』と評価できるのではないでしょうか」
●なぜ「ライブ配信」で摘発されたのか?
FC2には他にも、録画保存されたわいせつ動画が多くアップロードされているようだが、なぜ、わざわざ「性行為のライブ配信を助けた」という容疑で摘発したのだろうか。
「ライブ配信と違って動画の場合は、動画のデータが海外のサーバに保存されているということがあります。FC2の場合は、アメリカのネバダ州です。
こうした場合、仮に『わいせつ物陳列罪』のほう助で摘発しようとすると、『証拠となる映像が保存されているネバダのサーバを差押えできるのか?』とか『国内法が適用できるのか?』といったややこしい問題が出てくるおそれがあります。
それを避けるために、確実に国内法が適用できる『日本国内で行われている性行為をライブ配信によって、不特定多数の人に公開することを助けた』という形にしたかったのではないでしょうか」
一方、他の動画サイトでも、違法らしき動画を見かけることがあるが・・・。
「たしかに、他の動画サイトで、違法動画が配信されていることはあるでしょう。そして、サイト運営者が逐一、すべての動画をチェックすることは難しいと思います」
それでは、なぜFC2だけが摘発されたのだろうか。
「これは推測になりますが、仮にFC2の違法動画に対する被害届が多かったとすれば、警察が動く理由になると思います。
また、警察からの(違法動画についての)照会に対して、FC2側がキチンと対応しなかったということも可能性としては考えられます。もしくは、FC2側がとった対応について、警察が『それでは足りない』と判断したということかもしれません」
最所弁護士はこのように指摘していた。
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