遺体写真でストレス 元裁判員の訴え退ける9月30日 13時17分
強盗殺人事件の裁判員を務めた女性が、遺体の写真を見せられ急性ストレス障害になったのは裁判員制度が原因だとして国に賠償を求めた裁判で、福島地方裁判所は「重い負担になる場合は辞退を認める仕組みがあり、国民の負担は合理的な範囲で、裁判員制度は憲法に違反しない」として訴えを退けました。
去年3月に開かれた強盗殺人事件の裁判で裁判員を務めた福島県郡山市の青木日富美さん(64)は、証拠として提出された遺体の写真を見たことなどが原因で急性ストレス障害になり、「国民に参加を強制する裁判員制度は憲法に違反する」として国に200万円の賠償を求める裁判を起こしました。
これに対して、国は「裁判員制度は国民の負担を最小限にして憲法に違反しないよう国会で十分議論された」などとして訴えを退けるよう求めていました。
30日の判決で福島地方裁判所の潮見直之裁判長は、裁判員を務めたことで急性ストレス障害になったと認め、「裁判員を選ぶ手続きや審理を適切に進めれば原告の女性が発症することは避けられた可能性は否定できない」と指摘しました。
そのうえで「裁判員制度では審理に参加したり証拠を見たりすることで精神的に重い負担になると予想される場合は辞退を認める仕組みがあり、国民の負担は合理的な範囲で、憲法に違反しない」として訴えを退けました。
判決後に会見した原告の青木さんは、「裁判員を務めたことが原因で急性ストレス障害になったとしても我慢しなければならないというのは制度としておかしい」と話し、悔しさをにじませました。
また、原告の代理人の織田信夫弁護士は、「国民の権利を守るという司法の目的を果たさずに国家の都合を優先した判決だ。今後もさまざまな場で声を上げ続けていく」と話しました。
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