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 御嶽山では、東京都など4都県から派遣されている消防の緊急援助隊が活動を続けている。名古屋市消防局の加納利昭消防部長(59)と長野市消防局の小林秀二司令補(43)らが、山頂での救助活動の様子を朝日新聞の取材に語った。

 活動初日となった28日早朝。長野県側の登山ルートの一つである黒沢口から、約100人の隊員が警察官や自衛隊とともに山に入った。ガス検知器を手にした名古屋のハイパーレスキュー隊員が先頭を歩く。頂上が近づくにつれ、火山灰はセメントのように固まり、靴の裏にくっつく。足があがらないほど重くなった。

 長野隊は、生存者を背負って下山することを想定し、「体力温存」を隊員に指示していた。だが標高は3千メートルを超え、酸素が薄い。加えて防塵(ぼうじん)マスクをつけている。訓練を積んだ約100人の中からも「苦しい」と声があがった。

 午前11時半、歩き始めて4時間ほどで山頂付近に着いた。屋根や壁のあちこちに穴があいた山小屋や社務所。ゴーという不気味な噴気音が包む。「誰かいませんかー」。一面灰色の世界を、大声で呼びかけながら歩いた。登山道から離れた岩陰で光が動いているのに隊員の一人が気づいた。懐中電灯を振ると、振り返す。生存者だ。足にけがをし、動けぬまま倒れ込んでいた。