専門家ゲスト:田中敬一さん(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 専門員)
ゲスト:浜島直子さん(モデル)、つるの剛士さん(タレント)
リポーター:宮下純一さん(タレント・元水泳選手)
国内での生産量が増え続けているブルーベリー。旬は7月から9月で、長野、群馬、栃木、そして東京が主要な産地です。注目の栄養素は、ポリフェノールのなかでも抗酸化作用の強い、アントシアニンです。
そのパワーについては、去年、ブルーベリーを週2~3回食べている人は、糖尿病にかかる割合が低くなるという報告がイギリスの科学雑誌に発表されています。
しかし、街頭調査を行うと、なんと8割の人が「そのまま食べるだけ」と回答し、あまり活用しきれていないことがわかりました。
アントシアニンは、通常は安定していますが、一度切ったり、ミキサーにかけたりすると、酸化しやすい性質がありますが、その使いこなし方は、あまり知られていません。
今回は、カリスマ・パティシェの辻口博啓さん、ブルーベリーの成分の研究者、そして、ブルーベリー料理教室の主宰者などの達人から、成分も色も損なわず、ブルーベリーを味わい尽くすスゴ技をご紹介しました。
旬のブルーベリーを味わうために、東京都練馬区のブルーベリー農家、高橋正悦さんのオススメは、ブルーベリージュースです。冷凍したブルーベリーと氷、水、そしてレモン汁をミキサーで混ぜると色鮮やかな赤紫色になり、ブルーベリー本来の味わいを楽しめるジュースになります。ポイントは、レモンを入れることです。
その理由を、山形大学名誉教授、五十嵐喜治さんに伺いました。ブルーベリーの皮には、抗酸化物質のアントシアニンという成分が含まれています。アントシアニンは、「ポリフェノール」の一種で、強い抗酸化力を持っています。アントシアニンは実の中では安定した状態になっていますが、水と一緒にミキサーにかけると、不安定になって酸化しやすくなり、その結果、色も黒っぽく変わってしまいます。そこで、レモンや酢のような酸性の物質を加えると、酸とアントシアニンが反応してアントシアニンは赤紫色に変化し、安定します。その結果、抗酸化作用も保たれます。
【材料・3人分】
・冷凍ブルーベリー・・・200グラム
・氷・・・適量
・水・・・300ミリリットル
・レモン汁・・・適量
【作り方】
<取材協力>
高橋正悦さん(ブルーベリー観光農園 園主)
五十嵐喜治さん(山形大学 名誉教授 農学博士)
「あさイチ」アンケートや街頭インタビューで多かったのが、ブルーベリーの食べ方のレパートリーを増やしたいという声でした。あさイチサポーターの小林知子さんも、そんな一人です。
まずは、スイーツから。お悩みを解決してくださったのは、カリスマ・パティシエの辻口博啓さんです。
辻口さんが紹介してくれたのは、「ムース」や、「即席のパイ」などに広く活用できる特製ブルーベリージャムです。このジャム作りでのスゴ技は、ブルーベリーを洗ったあとに、「冷凍」すること。一度冷凍したあと、砂糖を加えて解凍すると、実から水分がたっぷり出てきます。辻口さんによると、その結果、強火で加熱しても、焦げにくく、かつ短時間できれいなジャムに炊きあげることができるといいます。
これは、冷凍、そして解凍することでブルーベリーの細胞が破壊されるためです。ブルーベリーのアントシアニンは、細胞壁、細胞膜、液胞膜という3重の膜で守られています。細胞膜より内側には水分があり、冷凍すると水分が膨張して、膜の組織が壊れます。そのため、解凍すると壊れた部分から水分、そしてアントシアニンも外に出てきて、上手に煮るのに役立つ、たっぷりの色鮮やかな水分となるのです。
【材料】
・ブルーベリー・・・100グラム
・グラニュー糖・・・60グラム
・レモン汁・・・大さじ2分の1
【作り方】
【材料】
・春巻きの皮・・・適量
・無塩バター(クリーム状)・・・適量
・ブルーベリージャム・・・適量
【作り方】
【材料・2人前】
・ブルーベリージャム・・・30グラム
・無糖ヨーグルト・・・50グラム
・グラニュー糖・・・10グラム
・レモン汁・・・2グラム
・粉ゼラチン・・・1グラム
・生クリーム35%・・・60グラム
【作り方】
<取材協力>
辻口博啓さん(モンサンクレール オーナーパティシエ)
ブルーベリーをふだんの食事にも活用するスゴ技を紹介してくださったのは、ブルーベリー農家でブルーベリーなどを使った料理教室を主宰している関塚直子さんです。
関塚さんが、暑い時期にオススメというのが、ブルーベリー酢と氷砂糖で一週間つけた「ブルーベリー酢」です。炭酸水で割ると、スッキリした飲み口の「ブルーベリー酢ソーダ」が出来上がります。
この「ブルーベリー酢」に、塩、こしょう、レモン汁、サラダ油を混ぜ合わせると、野菜を引き立て、ブルーベリーの香りがアクセントになるドレッシングが完成します。
さらに、メインディッシュのお肉にピッタリのソースもご紹介いただきました。作り方は、生のブルーベリーにハーブ入りの塩、水、レモン果汁、粉ゼラチン、そして牛乳をミキサーで混ぜるだけです。ここで加えた牛乳がソースにコクを出し、さらにブルーベリーのアントシアニンの吸収を高める働きをします。
栄養を吸収する小腸には、水が吸収されやすい「水溶性」のゲートと油が吸収されやすい「脂溶性」ゲートという、2つのゲートがあります。ブルーベリーのアントシアニンは水溶性なので、「水のゲート」を通って吸収されます。しかし、アントシアニンを牛乳と一緒に摂取すると、牛乳のカルシウムとアントシアニンが結合し、「脂溶性」のゲートを通ることができるようになります。その結果、「水のゲート」、「脂のゲート」の2つからアントシアニンが吸収されるようになるので、吸収率がアップします。
【材料】
・ブルーベリー・・・300グラム(※冷凍でも可)
・氷砂糖・・・150グラム
・酢・・・300ミリリットル
【作り方】
【材料】
・塩・・・小さじ2分の1
・こしょう・・・少々
・レモン汁・・・1個分
・ブルーベリー酢・・・大さじ3
・サラダ油・・・大さじ5
【作り方】
【材料】
・ブルーベリー・・・200グラム
・牛乳・・・50ミリリットル
・ハーブ入りの塩・・・小さじ2分の1
・粉ゼラチン・・・3グラム(※80度の湯、大さじ1で溶く)
・レモン汁・・・1個分
(※ブルーベリーの甘みが足りない場合は、砂糖、はちみつなどをお好みで足してください。)
【作り方】
<取材協力>
関塚直子さん(ブルーベリー農家「ベリー会議」会長)
田中敬一さん(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 専門員)
ブルーベリーの葉を使ったお茶を宮崎県と宮崎大学の共同開発によって生まれています。
その研究・開発の最前線に立ち、かつ、今回、自宅でも作れる方法を教えてくれるのは、宮崎大学の國武久登さんです。このお茶には、ポリフェノールの一種の「プロアントシアニジン」という成分が含まれています。このプロアントシアニジンは、非常に抗酸化力が高く、葉には、果実のおよそ10倍も含まれています。
このブルーベリーの葉については、脂肪肝のラットを使った実験が行われています。高カロリーの食事だけと、高カロリーな食事とブルーベリーの葉を与えたときとを比較したところ、ブルーベリーの葉を与えたほうが、脂肪が少なくなったという結果が出ています。國武さんによると、人間でも同様の効果が期待できると言います。
自宅でお茶を作るとき、葉を摘んですぐに電子レンジにかけるのがポイントです。これは、葉の中の酵素が働いてプロアントシアニジンが別の物質になるのを抑えるためです。
ブルーベリー茶を作るのは、いくつかあるブルーベリーのうち、「ラビットアイ系」という種類が、葉に含まれるプロアントシアニジンが多いため、ブルーベリー茶にオススメだと國武さんは言います。
【材料・6杯分】
・ブルーベリーの葉・・・20枚
【作り方】
<取材協力>
國武久登さん(宮崎大学農学部応用生物科学科 教授)