Fuzzy Logic

時事ネタ、音楽、映画、本、TV番組などなど、幅広く適当に語ります。

メディアの収益源と健全性の関係。あと「新聞」。

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「はてな村定点観測所」様のはてなブロガーには嫌儲民はいないのか? - はてな村定点観測所という記事、非常に面白く読ませていただきました。


はてなブロガーには嫌儲民はいないのか? - はてな村定点観測所

アフィリエイトゆえに記事の内容には筆者が意図する意図しないにかかわらず、商業バイアスが掛かっている。それをドン・キホーテのような蛮勇でコケにするのが嫌儲ブロガーの存在理由であると思う。その両者がいてこそブログのメディアとしての健全性が保てるのだ。


(中略)


アフィリエイトやアドセンスから自由であるからこそ書ける記事もある。そこから生まれるツッコミもある。


上記の引用箇所との関連ですが、何らかの収益によって成り立っている以上、いかなるメディアであっても「収益を生むためのスキーム」と「表現、言論の制限」というジレンマからは逃れ得ません。

今日は、その辺りについて色々と思いつくことを書いてみたいと思います。

テレビ、新聞、ブログの収入源

参考として、テレビ、新聞など各メディアは一体どのように収入を得ているのかを簡単に確認してみたいと思います。とは言うものの、実際に数字がネット上に公開されているのはテレビだけで、新聞は決算情報が公開されていませんし、ブログに至っては。。。ですが。

テレビ(日本テレビの場合)

下の表は日本テレビの2013年度決算説明会資料から日本テレビホールディングス&日本テレビ放送網の営業収入の内訳を抜き出したものです。

      (単位:百万円)

テレビ広告 228,014 79.9%
番組販売 10,902 3.8%
事業収入 41,338 14.5%
不動産賃貸 3,148 1.1%
経営指導料等 1,962 0.7%
合計 285,364  

テレビ広告の収入が全体の約8割を占めており、その他の収入は割合的には2割程度。テレビというメディアにとって、テレビ番組のCM収入が「一丁目一番地」ということがわかります。

新聞

このブログでよく話題にしている「新聞」ですが、ご存じの通り新聞の主な収入源は「販売」収入と「広告」収入です。

これがテレビと少し違う所なんですが、テレビ(民放各社)は視聴者から直接視聴料を取る「有料放送」による収入は、あるにはありますがそんなに多くありません(全体の20%以下)。新聞は(販売店という仲介をはさむものの)あくまで読者に直接メディアを販売する販売収入がメイン。この辺りがテレビと新聞のメディアとしての性格の差につながっているのだと思います。

ブログ

google adsenseなどアフィリエイト広告による収入がメイン。一応このサイトもやってます(運営ポリシー - Fuzzy Logic)。

1クリックごとに収入が発生するadsense形式から、販売価格の数%を手数料としてもらえる形式など様々ですが、いずれも広告主とのやり取りとなります。

また、ぼくのような無名・零細ブロガーでは無理ですが、有料メルマガを発行するケースもあり、これは新聞でいう販売収入と近いですが、おそらく大多数のブロガーにとっては不可能なスキームでしょう。

「アフィリエイト非加盟ブログ」(嫌儲ブログ?)との違い

いずれのメディアの場合も「受け手が目にする」ことが広告料の発生する源泉です。広告料を稼ごうとした場合、テレビなら「視聴率」、新聞なら「部数」、ブログなら「PV」を、それぞれ意識しながら運営していくことになります。というか、せざるを得ません。

加えて、広告主から収入を得る場合、「受け手に見られる工夫」以外に「広告主の意向」も考慮する必要が出てきます。ブログの場合は、adsenseの規約なんかがそれに該当してきそう。

「アフィリエイト非加盟ブログ」(←「嫌儲ブログ」と言うとなんか誤解を受けそうなので)とその他メディアを比べた場合、「PV」や「広告主の意向」を意識するメリットが、少なくとも金銭面では存在しない、ということが大きな違いと言えそうです。

「ブログ アクセスアップ」とか検索すると、膨大な量の方法論がヒットします。アクセス数を増やし、収入を得ようと思えば思うほど、そういった「方法論」に頼らざるを得ない部分が出てきます。そういうブログばかりになるのはどうか、という元記事の懸念もわからないではありません。まぁアドセンス導入してるこのブログで言うことじゃないかもしれませんけど。

ぼく自身このブログを更新する時、可能な限り好き勝手に書いてるつもりですが、元記事で指摘されているように「商業バイアス」が知らず知らずのうちにかかっているのかもしれません。

ただ、ぼくのような素人が書いてるブログに「広告載せてくれて成果があったらお金出すよ」と言ってくれる広告主がいるのであれば、それはお互いにメリットがあることなのでいいんじゃないかなとは思ってます。ブログ界隈の「健全性」を担保するのは、金銭的要因も勿論ありますが、第一にはやはりブログの運営者の多様性だと個人的には思いますので。

(おまけ)外的要因に左右されるのを極度に嫌うメディアがあるらしい

さて、このように様々な要因に左右されるのがメディアの宿命ではありますが、金銭的要因を含むあらゆる外的要因に内容を左右されることを極度に嫌うメディアがあります。

そう、「新聞」です。

「販売収入(部数)」という「読者からの支持」を背景に、例え広告を引き上げられようが自分たちの言いたいことを言ってやるぜ、という矜持を持ったメディア――それが「新聞」です。まあ、そういう矜持が暴走するとこの前の朝日新聞みたいなことになるわけですが…