ここではWindowsにC言語の開発環境を構築する方法を説明します。 WindowsでC言語のプログラミングをするためには、以下の手順を実行します。
以下で順にインストール方法を説明します。 MacOS Xでの構築方法については、MacOS編を参照してください。
まず最初にコンパイル環境を作成します。本講義ではWindowsでのコンパイル環境としてMinGWをインストールします。 MinGWはgccと呼ばれるコンパイラを中心とするWindows用のコンパイル環境で、無料で利用することができます。
MinGW 5.1.6 を圧縮した zip ファイルをこちらのリンクからダウンロードして、「C:\」に展開してください。 展開すると C ドライブのルートに MinGW というフォルダができるはずです(アンインストールするときは、このフォルダを削除します)。 なお、オリジナルのインストールファイルはMingGW のサイトから取得することができます(2008年3月時点)。
次に環境変数の設定をします。
Windowsの「コントロールパネル」から「システム」アイコンをクリックして、「詳細設定」のタブを選択 (Windows 7 の場合は「システムの詳細設定」をクリック) してください。
左の図のようになったら次に「環境変数(N)」ボタンを押して、環境変数「PATH」が既にないか確認してください。
ない場合には新規に作成して「C:\MinGW\bin」と設定します。
既にある場合には、値の最後に「;C:\MinGW\bin」を追加します。先頭の文字は「 ; 」(セミコロン)です。
環境変数を設定したら「OK」ボタンを押してダイアログを閉じ、さらに Windows を再起動してください(再起動しないと環境変数が反映されません)。
最後にgccが実行できるか確認します。
Windowsの「スタート」ボタンから「プログラム(P)」、「アクセサリ」、「コマンドプロンプト」と選択してください。
コマンドプロンプトが立ち上がるため「gcc」と入力してEnterキーを押してください。
「gcc: no input files」と表示されれば成功です。
コンパイル環境を整えたら、次はコンパイル環境を便利に利用するための環境を作成します。
これを一般に統合開発環境(IDE, Integrated Development Environment)と呼びます。
本講義では統合開発環境としてEclipseとそのプラグインであるCDT(C/C++ Development Tooling)をインストールします。
EcilpseとCDTは、MinGWと同じく無料で利用することができます。
EcilpseとCDTをセットにしてメニューなどを日本語化したものが、Eclipseの日本語化プラグインであるPleiades (プレアデス) の配布物として公開されています。
今回は、こちらのリンクから pleiades-all-in-one-cpp-jre_20080303.zip をダウンロードしてください。なお、こちらのリンク(2008年3月現在)からダウンロードすることもできます。
ダウンロードしたzipファイルを展開します。
展開したディレクトリにeclipse.exeという実行ファイルがありますので、こちらを実行します。
Eclipseで編集するファイルを保存する場所(workspace)を指定します。存在しない場合には自動的に作成されます。
デフォルトのままで特に問題ないため特に変更しません。
起動するたびにこの画面が表示するのを避けるため、下のチェックボックスをチェックして「OK」ボタンを押します。
最初にEcilpseを立ち上げるとアイコンが何個か表示されるだけの画面になります。
通常画面に移動するために、右端の「ワークベンチにジャンプ」をクリックしてください。
Eclipseのデフォルトの画面が表示されます。以後この画面が初期画面になります。
以上でプログラミング環境が構築できました。最後にコンパイル〜実行までの手順を学ぶためにも、簡単なプログラムの作成と実行を行います。ここでは単に"Hello, World"と表示するだけのプログラムを作成します。
Ecilpseではプログラムを作るためのひとかたまりをプロジェクトと呼びます。
ここではHello, Worldを表示するプログラム用のプロジェクトを作成していきます。
「ファイル」メニューから「新規」、「Cプロジェクト」を選択するとCプロジェクトの画面が表示されます。
この画面でこれから作成するプロジェクトのプロジェクト名は「HelloWorld」とします。
プロジェクト・タイプは「空のプロジェクト (Empty Project)」、Toolchainは「MinGW GCC」を選択して「終了(E)」ボタンを押すとEclipseのメイン画面に戻ります。
メイン画面の左側の細長いウィンドウ(プロジェクト・エクスプローラー)に"HelloWorld"プロジェクトが表示されているのを確認してください。
もし名前を間違った場合には、HelloWorldプロジェクトを選択して右クリックから「削除」を選んでプロジェクトを削除し、最初からやり直してください。
プロジェクトを作成したら、プロジェクトの設定を行います。プロジェクト・エクスプローラーから、今作成した HelloWorld プロジェクトを右クリックしてコンテクストメニューを開き、プロパティを選択してください。
左側のツリーから「C/C++ ビルド」-「設定」を選択し、右側のタブから「ツール設定 (Tool Settings)」を選択します。
表示されたツリーの中から「GCC Cコンパイラ」-「その他」を選択し、「その他のフラグ」へ「-std=c99」を追加して「OK」ボタンを押します。
この-std=c99は、C99規格に沿ってコンパイルするようにC言語コンパイラを設定するものです。本講義の内容はC99規格に沿って説明しています。 なお、この設定は新しくプロジェクトを作成するたびに毎回行う必要があります。
次にプログラムの元になるソースコードファイルを保存するフォルダ(ソース・フォルダ)を作成します。
ツールバーより「新規 C/C++ ソース・フォルダー」(... ソース・ファイルと間違えないでください)を選択してください。
新規に作成するフォルダー名として「src」を入力して「終了(E)」ボタンを押すと、ソース・フォルダが作成されて、メイン画面に戻ります。
プロジェクト・エクスプローラーに「src」が追加されているのを確認してください。
これもプロジェクトと同じく右クリックで削除することができます。
次に作成したソース・フォルダにソースコードファイル(ソース・ファイル)を追加します。
ツールバーより「新規 C/C++ ソース・ファイル」を選択してください。
ソースファイル名を「HelloWorld.c」を設定して、「終了」ボタンを押すと、ソース・ファイルが作成されてメイン画面に戻ります。
プロジェクト・エクスプローラーの「src」以下に「HelloWorld.c」が表示されるのを確認してください。
プロジェクト・エクスプローラーの「HelloWorld.c」をダブルクリックすると、画面中央にHelloWorld.cが開きます。(何も記述していないので中身は真っ白です)
以下の注意事項を読み、HelloWorld.c の内容を入力してください。
入力が終わったら、このファイルの内容を忘れずに保管(保存)してください。
ツールバーの保管アイコンの他、Ctrl-S 等でも保存できます。
※行番号は書かないでください。
※半角・全角に注意してください。全て半角文字です。
1: 2: 3: 4: 5: 6: 7:
#include <stdio.h> int main() { printf("Hello World\n"); return 0; }
入力した HelloWorld.c からプログラムを作成するための処理(コンパイル)を行います。
プロジェクト・エクスプローラーの「HelloWorld」部分で右クリックし、「構成のビルド」、「ビルド」、「すべて」を選択します。
ビルドが成功すれば、プロジェクト・エクスプローラーが更新されます。
デバッグ」と「リリース」が追加されているのを確認してください。
HelloWorldプロジェクトを実行するために、ツールバーの「実行」(緑に三角が重なったアイコン)を選択します。 続いて出てくるメニューより「実行ダイアログを開く」を選択します。
表示された実行ダイアログの左側のツリー構造から"C/C++ローカル・アプリケーション"をダブルクリックします。
実行プログラムを設定するために、C/C++アプリケーションの"プロジェクトの検索"をクリックします。 自動的にHelloWorld.exeが選択されるので、"OK"ボタンを押します。
C/C++アプリケーションに"デバッグ/HelloWorld.exe"になっていればOKです。"実行"ボタンを押せば、HelloWorldプログラムが実行されます。
画面下部分の"コンソール"タグに実行結果が表示されます。"Hello, World"と表示されれば成功です。 以降はツールバーの"実行アイコン"をクリックするだけでコンパイルして実行されるようになります。