- 鳥取県人権尊重の社会づくり協議会 -
鳥取県人権尊重の社会づくり協議会会議録
開催日時平成191105日(曜日) 13:40 16:40
開催場所ウェルシティ鳥取(鳥取厚生年金会館) (鳥取市扇町176)
2階 梨花の間
出席者名相見槻子委員; 相見寿子委員; 一盛 真委員; 大塩孝江委員; 加賀田さゆり委員; KIP A.CATES委員; 菅本鈴香委員; 薛 幸夫委員; 高多彬臣委員; 田村 勲委員; 冨谷誠一委員; 永山正男委員; 濱本英機委員; 福田壮吾委員; 福間裕隆委員; 藤村梨沙委員; 光岡芳晶委員; 安田寿朗委員; 渡辺 憲委員
議題(1)報告事項:人権救済条例見直し検討委員会の意見について
(2)相談窓口の周知について
(3)人権施策の推進状況について
問い合わせ先総務部人権推進課
0857-26-7121
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
5
(3)その他(会議資料等)

会議内容:

(1)報告事項:人権救済条例見直し検討委員会の意見について
  • (事務局)資料にもとづき説明
  • (会長)この項目は本協議会の審議事項ではないが、御質問等があれば御発言いただきたい。
  • 新聞報道によると「廃止もやむなし」という知事の発言があったようだが、何のために何年も条例の審議を我々は続けてきたのか。これ以上待てない。さまざまな人権侵害の事実が実際に耳に入ってきている。全県民が簡単にすぐに相談に行けるような機関をつくれないか、前向きで建設的な議論をしていただきたい。
  • 見直し検討委員会の意見書では、廃止された後の必要な救済措置の案もきちんと提示している。意見書にある方法でぜひ良いものをつくってほしいということである。委員の方は世論を広げていってほしい。本協議会が行った議論は実り多い議論、実践であった。
  • (会長)見直し検討委員会は、現条例は機能しないと評価したが、現条例に代えて別の枠組みであれば人権救済ができるという趣旨の報告を行った。かつての本協議会の議論は、今後の検討の中に生きてくる。
  • 私は、この協議会でつくったものが執行部案として出ていると思っている。
  • 人権問題は難しい問題であるが、日々悩んでいる人がたくさんいることも事実で、この対応が現条例の目的。現条例が必ずしも100%のものではないということは承知しているが、これからのことは引き続き議論をしていけば良い。
  • 会長から「本協議会の審議事項ではない」との発言があったが、今後も本協議会で人権救済制度についての審議をしていくべきと考える。
  • (会長)知事から「人権救済条例についてこの協議会で検討してほしい」と言われれば、本協議会の審議事項となるであろうが、検討委員会が検討結果を知事に返したにも関わらず、別のところで再度その検討結果について審議するということは、組織的に混乱するのではないかと思う。
  • 事務局は、今後の人権救済制度の検討についてどのような予定をお考えか。本協議会においても議論していくべきと考えるが、いかがか。
  • (事務局)現在の人権救済条例も含め人権救済制度について、今後どのように検討していくかは未定である。一般論としては、人権施策は多岐多様に渡るため、例えば人権救済条例の見直しを検討委員会にお願いしたように、それぞれの課題や問題に適する検討方法を考えながら人権救済制度を検討していくことになると思う。
  • (会長)本協議会には県の人権施策に対して提言する機能が認められているため、そのような機能を十分に活かせるよう、本協議会を拡充する意見も意見書で述べている。
  • 当事者は決して何も努力しないまま救済を待っているわけではない。精一杯努力している上で、人権救済条例に期待をもっている。是非、前向きに議論を進めていただきたい。
  • (会長)意見書は、おそらく知事や県議会に対して多くの課題を投げかけているだろう。それらの課題をそれぞれの機関がしっかりと受け止めていただきたい。それが見直し検討委員会の願いである。
  • 今後の予定が決まっていない以上、どのような形でこの問題が終息されていくのか不安である。拙速な決め方をしていただかないようお願いしたい。
  • 見直し案については、障害のある方に対する人権侵害は、社会的な責任を負っている企業や事業者によるものもあるので、公権力による人権侵害だけに限定するべきではないと考える。
  • それぞれ分野別に差別禁止条例をつくる方法もあり得る。障害者差別禁止条例については、障害福祉課が中心となって取り組んでいただきたい。障害者については、国連でも権利条約ができており、必要性は高いと考える。
  • (会長)意見書の内容を読んでいただき、より良くするための御意見を今度は知事の方へ言っていただきたい。

    (2)相談窓口の周知について
  • (事務局)資料にもとづき説明
  • (会長)皆さんにお諮りしたいことは、資料4の各項目(@周知方法の見直しについて、A相談カードの導入について、B総合相談窓口に求められる役割について、C相談者からの意見、要望によって工夫したこと)についての改善意見である。
  • 性同一性障害に関して県に寄せられた相談は最終的に、相談機関ではない、報酬や実費をまったく支給されていない私個人のところへ来る。これはいかがなものか。県内には、性同一性障害について相談できる医療機関がない。家庭や学校の問題を調整する人材もいない。無策の状態である。私は今年でいっさいの活動を止めるが、県はその後のフォローをどのようにされるつもりか。
  • 総合相談窓口や個別の相談窓口をたくさん設置することよりも、そこで実際にどのような対応や処理が行われているかが問題。だから、相談内容や救済されている相談、救済されない相談について実状を把握し、中身の議論をしていかなければならない。
  • 相談窓口は、社会的に弱い立場にある子どもたちを救うことも重要な役割の一つ。子どもたちが「困ったときはここに電話してみよう」と思える窓口が必要。だから、「事件は110番、火事は119番」というように、決まった番号で大きな窓口をつくっていただくと良い。
  • 相談窓口にコーディネーターを配置して、相談内容を短時間で適切に把握できるようにすれば、相談者にとっては勇気を出した甲斐があったと思える。
  • 相談者に直接会って対応する場合に、初期対応を適切に行える人材の育成が早急な検討課題である。
  • たいていの相談機関は、月曜日から金曜日までしか相談に対応していない。せめて月に1度は、それぞれの地区で専門的な相談を土曜日でも対応するような体制を検討していただきたい。
  • 相談機関の職員が、他の機関の業務について「どこまで対応してくれるか」というレベルまで承知していることが必要。相談機関がそれそれの役割を、相互研修という形でも良いが、きちんとお互いに理解し合うということも必要だと思う。
  • 相談機関は誰が対応するかということも重要。相談機関の中には、相談者が相談に行った際にビックリするような状態になっている機関もある。相談者が「次はもう行きたくない」と思わないよう丁寧に検討していく必要がある。
  • 問題は「相談機関をどう周知するか」ではなく、「相談機関が相談機関足りえているか」ということ。相談機関さえもつくらないで、いわばボランティアに相談機関の役割を代行してもらっていることは筋違いも甚だしい。
  • 相談機関には最初の段階でさまざまなことが求められる。例えば、総合的なコーディネートができる相談員、ケースによっては臨床心理士や社会福祉士、医療ケースワーカー、法律に詳しい人などが必要。
  • どの相談機関も最初に相談を受けた段階で、適切な機関を判断し振り分ける能力を持った人を配置していない。これは資質の問題で予算を組んで人を育てない限り、いくら相談機関を設置しても駄目。
  • 最近、ある件で相談窓口へ相談に行ったが、最終的に憤慨して帰ったということがあった。そういうことがあると、次、同じようなことがあっても、また相談に行こうという気にならない。
  • 行政の各課単位で相談窓口をつくるのではなく、東・中・西でそれぞれ窓口を一本化する必要がある。例えば、電話帳に「困りごと相談窓口」などと電話番号を載せるべき。
  • コーディネーターの配置の次に、専門的に取り組んでいる機関のネットワーク整備も必要。運営資金がなくて困っている機関には財政的な支援をして、活動しやすい環境づくりをするべき。
  • 相談機関の職員には、相談者の困っている内容を適切に把握する技術や専門性が必要である。一人の職員があらゆる分野の専門的な知識を得ることは不可能であるから、ボランティアやNPOなどにも力を借りながら、同じような相談の型をあらかじめ知っておくためのネットワークを整えておくことが必要である。個人情報の問題もあるが、相談者の了解の下、情報交換をしていくことが重要である。
  • 性同一性障害に関する問題は、県内に専門の精神科医がいないので医師自身も勉強していく必要がある。
  • 性同一性障害に関することを医療機関に相談するためには、周辺の社会的なサポートをする機関も必要であるが、県がその整備を放置されてきたことは否定できない。
  • 専門的且つ継続的な対応が必要な場合は、既存の機関に担当部署をつくって対応していくことが重要である。
  • すべての部署に専門的な職員を配置することは難しいので、関連の深い機関に配置することも大事。コーディネート、専門性の発揮は容易ではなく、また、窓口一本化の実効性の問題もあり、ネットワークの中でどこかが中心に対応する仕組みをつくることが重要。
  • 障害福祉課が作成された「受診サポート手帳」は、非常に有効に使える手帳だと思うので、もっと周知するべき。
  • (会長)議題として「相談機関の周知について」ということが提案されたが、この協議会ではその入り口のところで、もっと基本的に大切なことがあるという意見が相次いだ。総合的な窓口機関がもっと機能することが必要であること、そこには相談者が何を相談したいのか聞き出すことができる人が配置されていること、それをネットワークにつなぐコーディネーター機能をきちんと果たすことという意見と、同時にネットワーク自身を早くつくらなければならないという意見もあった。また、県については、県の縦割り組織ではなく、課題ごとに対応できる相談機関を構想していただきたい。特にそれらに関わる人材をどう養成していくかということが重要な課題であるという意見が次々発言された。ぜひ、これらの意見を謙虚に受け止めていただきたい。

    (3)人権施策の推進状況について
  • (事務局)資料にもとづき説明
  • 「ハンセン病碑建立事業」は、知事が謝罪しただけでなく、県民も含めて謝罪することが重要だと考えたとき、発起人には当事者は入らず、知事をはじめ市民の代表だけがなるべきではなかったか。
  • 「風紋のあかり(ハンセン病資料集)」の内容は、県の公文書にあるような資料は含まれておらず、鳥取県にいなくても手に入るような一般的なものばかり。三重県や兵庫県では丁寧な聞取調査を続けておられるが、鳥取県もきちんと聞取調査をして、何をどう間違ったのかという資料集を出すべき。また、分かりやすい学校向けや市民向けの啓蒙版を作り直すべき。
  • 「風紋のあかり」は、当初、「正しいハンセン病を知る。歴史を知る。同じ過ちを繰り返さないように将来に残す。」という意味を込めて作られると聞いたが、完成した内容には県の反省の意図は十分には見受けられない。
  • 碑に刻まれる文章は、当時のハンセン病行政を知らない人にも県の反省が明確に伝わるものとすべきで、「無らい県運動犠牲者慰霊の碑」というタイトルを大きく刻んでいただきたい。
  • (健康政策課)「記念碑」という名称については、予算要求時に不用意な名前を付けてしまったもの。現在、懇話会でどのような名称が適切か検討していただいている。まだ、結論は出ていないが、引き続きふさわしい名称について検討していきたい。
  • 見直し検討委員会の意見に「教育委員会は相談・救済機能を有しているが、機能していない。第三者委員会をつくらないといけない。」とあるが、教育委員会にとっては失態である。学校での性同一性障害の問題を人任せにするなどあってはならないこと。教育委員会が相談・救済機能をしっかりと機能させていないのであれば、まずそこから改めるべき。
  • 「人権」という概念の中に、「在日」が入っているか疑問である。「在日」は日本国憲法で守られていない。かつては日本人だったが、日本国籍を剥奪された外国人が「在日」である。「在日」が日本国憲法で守られていないことに大きな矛盾を感じている。
  • 全国のハンセン病患者の約一割が「在日」だと言われている。つまり、さらに下の階層で救われていない存在がいるということである。また、在日の無年金の老人や障害者もいる。特に、高齢者はどんどん亡くなっている。そのような状況を考えると、検討委員会の意見書にある行政への施策提言機能の拡充や差別禁止条例により現状が改善されることに期待している。何らかの突破口を開けられないかと期待している。
  • 人権救済制度については、既存の相談機関を充実していくことは必要であるので、それはやっていただきたい。しかし、だからといって人権救済あるいは差別禁止という条例そのものが必要ないという結論にはならないようにしていただきたい。
  • 検討委員会の意見内容を総合的に検討していただき、再度県民あるいは本協議会に意見を聞いて判断していただきたい。
  • 検討委員会は役割を果たして終わった。次に、この協議会をどういう方向に持って行くのか。
  • この協議会の検討を踏まえて知事が条例を議会提案しており、その時点でこの協議会の人権救済条例に関する役割はひとまず終えた。検討委員会が結論を出した今後は、知事が検討委員会の意見を踏まえ、議会や県民の皆さんにどう示されるかであり、議会に提案する前に、この協議会に対して素案に対する意見を求められることは可能性としてあるだろう。
  • これだけの意見が出ているのだから、その方向で進めれば良いのではないか。
  • 今のところ、ボールは知事が持っているわけで、それをどう投げてくるかということだと思う。
  • 北朝鮮による拉致問題は、松本京子さん一人の問題ではない。特定失踪者問題調査会によると、鳥取県関係で約21名の方に拉致の可能性が指摘されている。全体を視野に置き、例えば相談会の開催なども含め、もう少し踏み込んで対応していただきたい。
  • 県が行った相談機関の調査結果や県庁内で出された意見と、今、委員の皆さんから出された意見とのギャップが鳥取県の人権問題のギャップの大きさを示している。私たち委員は、このギャップを埋めていく側になって考えていなければならない。
  • 私たち委員もつなげるネットワークはすべてつないでいきたい。私たちも県民の一人として協力していかなければならない。
  • 外国人に関する施策は、通訳等、良い方向になっていると思うが、今月末から開始される外国人の指紋登録制度により、日本社会におけるポジションについて不安に感じている外国人も多い。外国人の人権に関して心配するポイントの一つである。
  • 保護司は更生保護という観点から今まで加害者だけを担当してきたが、被害者支援を可能とする法律が施行されることにより、今後は民間被害者支援団体との連携についても考えていかなければならない。被害者支援は地域全体で取り組んでいく必要がある。
  • 相談窓口をいくら作っても、「あっちへ行ってください」では駄目で、今ある制度を見直し強化すべきではないか。
  • 例えば、紛争解決の方法の一つに調停制度がある。これにも批判的な意見はあるが、調停委員には弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士、建築士など専門職の人もいる。また、委員会のメンバーには必ず判事も加わる。素人が足して2で割るような解決ではない。
  • 今回、いじめの問題が取り上げられていない。今年3月、文部科学省がいじめの定義を変えている(注:いじめを表面的・形式的に判断するのではなく、いじめられた児童生徒の立場に立って判断することに変えた)が、現在の鳥取県人権教育基本方針は従前までの定義。私からすると、文部科学省が定義を変えたことも対症療法的で無策の状態である。また、県の資料では、心理学者の学説に立っているものと、教育学・社会学の学説に立っているものと両方が出されており、現場では「よく分からないから、何となく両方悪い」ということになっているのではないかと危惧している。
  • (会長)本日の議論はこれで終了します。熱心な御議論ありがとうございました。


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