- 鳥取県人権尊重の社会づくり協議会 -
鳥取県人権尊重の社会づくり協議会 第1小委員会会議録
開催日時平成180828日(曜日) 13:30 15:30
開催場所鳥取市扇町21
研修室
出席者名椋田昇一委員、川口斐子委員、KIP A.CATES委員、薛 幸夫委員、永山正男委員、濱本英機委員、藤村梨沙委員
議題鳥取県人権施策基本方針に係る施策の推進状況について
(分野:同和問題・外国人・プライバシー・性的マイノリティほか)
問い合わせ先総務部人権推進課
0857-26-7121
その他(1)公開又は非公開の別
公開
(2)傍聴者数
3
(3)その他(会議資料等)

会議内容:

(1)座長の選出について
  • 委員の互選によって、椋田昇一委員を座長に決定。

    (2)人権施策の推進状況について
  • 〔県〕各関係課が施策等の概括を説明。1同和問題に関すること(同和対策課)、2外国人の人権に関すること(交流推進課)、3分野全般(教育分野)に関すること(人権教育課)。

     ア 外国人の人権問題について
  • 同和問題と外国人の人権問題に対する県の取り組みを見た場合、同和問題に対する取り組みは予算額がずらっと並び具体的な事業が掲げられているが、外国人の人権問題に対する取り組みは理念系の一般論ばかりで、具体的に外国人の基本的人権を守っていくためにどのようなことがなされているのか見えてこない。例えば、外国人高齢者の無年金問題(資料P.33)について、給付金事業があげられているが、日本人だったらもらえる最低の老齢福祉年金に近づけるような努力であるとか、国に立法化措置を強力に働きかけるなど具体的な取組をみせてほしい。
  • 永住外国人の地方参政権について、鳥取県は数年前に国に対して立法化措置を行うよう意見書を提出している。今年することは「都道府県国際交流協議会を通じて国に働きかける」ということだけか。数年前に知事に特区により県独自に対応できないかという話をしたが、実現しなかった。別の形で強力に推し進める方法はないのか。
  • 〔県〕現時点では、資料記載のとおり取り組むこととしている。非常に大きな問題であるので、国が一定の方向を示すような形で対応できたらと考えている。
  • 外国人問題も範囲が広く、在住外国人、研修、エンターティナー(興行)など、それぞれの対象で課題は異なる。一般的外国人というのではなく、それぞれに焦点を当てた調査や取組ができたらよいと思う。

     イ 新しい人権問題について
  • 以前あった人権問題講師団がなくなり、生涯学習センター人材情報への登録に変更になったが、ホームページのどこに情報が掲載されているのかわからない。人権学習の担当者が講師をさがしやすいシステムとしてほしい。情報がなければ、性的マイノリティのような細かい問題に対する講師依頼はなくなり、啓発ができない。
  • 〔県〕県のホームページの見づらさについては、改善の余地があると思う。ただし、ホームページに掲載したらそれでいいというものでもない。現在の組織でどれだけ情報提供できるかという問題であるので、改善の努力をしていく必要があると考えている。
  • 新しい人権問題について、人権の研修の担当者であっても知らない問題が多いと思う。県がそういう問題を研修の題材として紹介するだけで、依頼がなければ動きませんというのであれば、その問題について内容を全然把握していない担当者なら研修会を開こうとは思わない。新しい人権問題をどうしたら啓発できるかと考えた場合、ある程度県が企画し、年に一つずつやっていくなど主体的に取り組んでいかないと啓発は進まない。
  • 〔県〕県としては、「さまざまな分野の人権問題研修をしてください。」というのが基本的な立場。「これだけを」と県が押しつけることはできない。県が自ら講演会を主催したり、広報誌や県政だよりで啓発をしたりすることにより市町村等にメッセージを送っていることになると考えている。
  • この委員会に委員がいる分野は意見を伝えることができるが、いない分野はどうなるのか。
  • 〔県〕分野により、取り組みにある程度の強弱が生じていることは理解をいただきたい。基本方針で対応が必要と確認しているわけであるので、県としては取り組む必要があると考えている。
  • 実際に問題があり、解決していないわけであるので、単なる技術論や押しつけができないからという理由で、未解決の問題が放置されないようにお願いしたい。具体的な実態や現状について、それぞれの委員と率直に意見交換しながら、県は何ができるか、何からできるのかを考えて検討していただきたい。
  • 「刑を終えて出所した人や罪や非行を犯した人」(資料P.40)に対する県の取り組みについて、具体的な内容を説明してほしい。
  • 〔県〕資料P.40の「刑を終えて出所した人や罪や非行を犯した人」や「性的マイノリティ」の方の人権問題については、機会を見つけて啓発に努めているのが現状。特に「刑を終えて出所した人や罪や非行を犯した人」の人権問題については、県主催の講演会などの取組は、残念ながらできていない。資料に記載している「県民自ら行う人権学習補助事業」、「人権協働ネットワーク事業」については、県民の方からの御提案により啓発事業をやっていこうとするもの、あるいは県民の方が自ら行う啓発事業を支援するもので、啓発に取り組んでいただける県民の方を探して、声をかけていくような働きかけをしていかなければならないと考えているが、具体的な取組はできていない。
  • 「刑を終えて出所した人や罪や非行を犯した人」の人権問題について、犯罪を犯す人には大人から子どもまでいる。高齢者、障害者、薬物中毒者等多種多様。出所しても家族及び社会が受け入れてくれない場合もある。帰るところも無くホームレスや橋の下で生活し、仕事にも就けず、万引き、無銭飲食等の再犯により塀の中に戻る例もある。犯罪や非行は本人だけの責任とは言い切れない部分もある。社会全体で地域みんなの理解と協力で二度と犯罪や非行を犯さないような社会づくりが必要。一番困っているのは就労関係。仕事に就けなければ、どうなるか。結果、元に戻るしかない。解決の方法も分からない状況。県で体系的な施策に取り組むことができないか。
  • 〔県〕啓発的なことしかお答えできていないが、今後また関係課とも協議をしていきたいと考えている。
  • 保護司は、犯罪や非行を犯した人のプライバシーの保護に十分配慮した活動は今後も重視すべきであるが、昨今の犯罪状況、社会情勢から、今までの閉鎖的保護司活動からオープンな活動への変革が求められている。犯罪や非行を犯した人は最終的に社会に帰ってくる。それに伴うリスクを地域の皆様に認知していただく取り組みを展開することによって、理解と協力を得ることで、犯罪や非行を犯した人と共に生きる社会づくり、地域づくりをはかることとしている。

      ウ 人権教育について
  • 人権教育資料と子どもの権利条約のパンフレットとは、学校の現場ではどのような関係のものとして扱われているのか。子どもの権利条約のパンフレットは評判はいいが、あまり使われていないと聞いている。一般的な指導とうまく組み合わせると良いと思う。
  • 人権教育の分野に関して、一般的な人権教育だけでなく、個別の問題、課題に関する教育が大切。例えばニュースで出てくるのは、イスラム教はテロリストという偏見、また北朝鮮に対する偏見。こういったことは人権教育の取り組むべき1つの課題であり、鳥取県の学校でも取り組むべきだと思う。
  • 戦争や暴力をやめようということで人権が立ち上がってきた。基本的な人権概念を押さえておくべき。北朝鮮の問題で、鳥取には朝鮮学校はないが、朝鮮学校に通っている子ども達は差別や迫害を受けている。国家の政策の問題とそこに住んでいる個人とは別だということを押さえておかないといけない。
  • 子どもは単純に学校で教えられたものをそのまま消化してしまうので、特に人権教育では、権利だけを教えるのでなく、背中あわせに義務を伴っていることを教えていただきたい。

     エ 資料について
  • どういう取り組みを行った結果、こういう問題は解決した、こんなことが解決せずに残っているという施策の効果も含めて資料が作られていないと、「真面目に県は取り組んでいますよ。」ということしか分からない。何が問題で、今まで県がどう取り組んできて、その結果はどうだったか、何が未解決かの資料が必要。今の資料に必要な部分を補って活用できるものとしてほしい。
  • 〔県〕今まで、基本方針の進捗についてのまとめをしていなかった。今回はじめてなので時間的な制約もあり不十分であることは承知。どんどん意見を出していただきたい。

     オ 協議会の審議の対象について
  • この協議会は、同じ「国民」ということをベースとしているのか。「住民」なのか「人間」なのか。そこの整理が必要。「国民」であれば外国人である自分はここに居る必要はない。同じ人間としてというのがベースであることを共通理解として確認したい。
  • 〔座長〕人権尊重の社会づくり条例の対象は「すべての者」であることを共通理解として確認。

     カ 人権救済条例の見直しの進捗状況について
  • 見直し検討委員会の会長が委員としておられるので、見直しの進捗状況を説明いただきたい。
  • 〔会長〕現在、見直しに必要な論点を全部やっていこうという姿勢で進めている。県が条例を作らないといけない根拠がどこにあるかということで、人権分野に対応する既存の救済機関の調査をしているところである。個別の領域の問題を検討した上で改めて条文を見ながら法律上の問題について議論していくことになるだろう。いつごろまでにという日時を目的にしていないが、ただいつまでもだらだらやるつもりもない。


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