あなたのご自宅には「救急箱」はありますか?「聴診器」は入っていますか?そばに「血圧計」はありますか?今回はいざというときのために自宅に置いておきたい医療グッズをご紹介します!実は聴診器って一般の人でも使えるんです!

医療アイテム, 応急処置

聴診器使ってますか?救急箱とセットで揃えたい医療アイテム3選

こんにちは!
ユリカモメ病院の新人ナース、山下リコです。

あなたのご自宅には「救急箱」はありますか?

もしかしたら、救急箱をお持ちでも「ほとんど使ったことがない」という方は多いのではないでしょうか?
その理由として、「体調が悪くなったら、救急病院へ駆け込めば良い」という考えがあるのかもしれません。

たしかに、人命に影響するような場合には、救急病院へ駆け込んでいただいた方が良いです。

ただ、救急病院へ駆け込む際に覚えておいていただきたいことがあります。
それは、身体が弱った状態で救急病院へ行くことで、ほかの感染症にかかる可能性があるということです。

たとえば、「風邪かな・・・?」と思って救急病院へ行った結果、ほかの患者さんからインフルエンザをうつされてしまった、そんなことは実際に起こりえます。
というのも、救急病院には、いろいろな患者さんがいらっしゃるからです。
患者さんの中には、ウイルス性の病気を患っておられるケースもあり、お互いに感染しあわないよう、注意が必要です。

そのため、何が何でも救急病院へ行く!ということではなく、状況に応じて救急病院へ行くかどうかを選んだ方が良いでしょう。
その時の判断として役に立つのが、「体温計」や「血圧計」といった医療アイテムです。

たとえば、あなたがお持ちの救急箱の中に、そういったアイテムを充実させておくことで、いざという時の助けになるんです。

たとえば、「聴診器」
聴診器を使えば、胸の音を聞いて、健康状態を確かめることができます。
実は聴診器って、一般の方でも使うことができる便利アイテムなんですよ。

というわけで、今回は、救急箱とセットで揃えておきたい医療アイテムを三つご紹介します!
聴診器がご家庭にあると便利です!医師・ナース以外の人も使える健康グッズなんですよ!ひっくり返して使えば、大人の不整脈も発見できるんですね!

救急箱の中に入れておきたいアイテム

早速ですが、あなたの救急箱の中に以下のアイテムは入っていますか?
これらは、常備しておくと便利なアイテムたちです。

特に「体温計」は使う頻度が多いと思います。
「自分はあまり風邪をひかない」という方も、いざという時に使えるよう、体温計が故障していないかのチェックはしておいた方が良いでしょう。

もちろん、体温計が壊れることはめったにありませんが、電子体温計の場合は電子機器ですから、絶対に故障しないとも限りません。
定期的なチェックが大切です。

救急箱

  1. 体温計
  2. 綿棒
  3. 冷却シート
  4. マスク
  5. 防水フィルム
  6. 包帯
  7. 三角巾
  8. アイスノン
  9. 吸い飲み
  10. 湿布
  11. はさみ
  12. ピンセット
  13. 毛抜き
  14. 氷枕

これらのアイテムの準備ができたら、続いて、続いて、以下の三つのアイテムもオススメです。

オススメアイテムその1「聴診器」

まず、ひとつめは「聴診器」です!

聴診器

聴診器というと、お医者さんが使うプロのアイテムのように思われるかもしれませんが、ご家庭にも常備しておいた方が良いんです。

というのも、聴診器を使って胸の音を聞けば、健康の状態を知ることができるからです。

聴診器を使えば、「心臓の音(心音)」「呼吸時の肺の音(呼吸音)」を聞くことができます。
たとえば、小さいお子さんの「喘息」の症状を発見したり、心臓病のきざしといえる「不整脈」を発見できたりします。

喘息の場合は、気道が閉塞しているため「ヒューヒュー」という音が聞こえます。
また、肺に痰が溜まっている場合には「ゴロゴロ」という音になります。

※同じ病気でも、人によって聞こえる音に差があります。
可能であれば、平常時の音をかかりつけ医と一緒に確認・把握しておき、救急に行くかどうかの判断で呼吸音を確認する場合は、他の症状(熱・炎症など)の有無も併せて判断しましょう。

聴診器には2種類ある

ちょっと専門的なお話になりますが、聴診器にはシングルタイプ(片面式)と、ダブルタイプ(両面式)というふたつの種類があります。

ダブルタイプ(両面式)には広い膜の部分である「膜型」と、小さなお椀型の「ベル型」という二つの面があり、それぞれの面で役割が異なります。

「膜型」の面は高音域の音を聴き取るのに優れていて、「呼吸音」を聞く際に使われます。

「ベル型」の面は低音域の音を聴き取るのに優れていて、「心音」を聞く際に使われます。また、妊婦さんの胎動の音を聞く際にも使われます。
(心音は「ドックンドックン」という音からわかるように、低音成分が多いんですね)

ダブルタイプ(両面式)には「膜型」と、「ベル型」という二つの面があります

聴診器を使うことで音が聞こえるイメージは、「糸電話」をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

糸電話

ちなみに、シングルタイプ(片面式)の聴診器を使えば、軽く当てれば膜型の役割(高音域のチェック)、強く当てればベル型の役割(低音域のチェック)をこなすことができます。

ただ、妊婦さんの胎動の音などを聞く際は、より低音に特化した聴診器を使う方が良いので、諸々の用途を考えると、ご家庭には、膜型とベル型が分かれているダブルタイプ(両面式)が便利かもしれません。

●シングルタイプの聴診器

シングルタイプの聴診器

●ダブルタイプの聴診器

ダブルタイプの聴診器

聴診器を使って、ご自身の平常時の心音を知っておけば、自分の身体の異常にも気付きやすくなります。
たとえば、ドクターの診察時には心音に異常が見られないけれど、実は、日常生活でたまに心音異常がある、そんなケースも見つけることができます。
そういったことは、日常的に聴診器を使っていないとなかなか分かりません。

ぜひ、聴診器を常備しておいてくださいね。

もし、聴診器で聞ける音の種類が気になる!という方は、以下の本をお読みいただいても良いかもしれません。

聴診器を実際に使うとわかる、ドクターの苦労

聴診器を使って、胸の音を聞き始めると、“あること”に気付きます。
それは、聴診器を当てている最中に喋られると、音が分かりづらくなるということです。

なので、胸の音を聞くのにも時間がかかってしまいます。
診察中に世間話をし始める癖のある方は、ご注意くださいね。

あ、もちろん、聴診器を当てていない時にお話いただくのは大丈夫です!

聴診器を当てている最中に喋られると、音が分かりづらくなります

オススメアイテムその2
「ネブライザー」

「ネブライザー」という器具をご存じですか?

ネブライザー

ネブライザーとは、水や薬液を細かな霧に変えて、気道内に噴射する「吸入療法」で使われる器具です。

気管支を拡張するお薬や、痰をやわらかくするお薬を霧状にし、肺の中にまで行き渡らせることができます。

たとえば、風邪をこじらせて気管支炎になった際、耳鼻咽喉科や呼吸器科を受診すると、このネブライザーを使ってお薬を吸入していただく場合があります。
呼吸をするだけで、肺にお薬が行き渡るので、患者さんの負担が小さく、薬がうまく吸引できない小さなお子さんにも適しているため、小児喘息の治療にも使われます。

そんな便利なネブライザーですが、ぜひご家庭にも常備しておいていただきたいんです。

というのも、たとえば、あなたのお子さんが風邪で咳が止まらなくなった際、小児科から気管支を広げる薬が処方される場合があります。

その際、病院からネブライザーで処置するケースがあるのですが、混雑時にはネブライザーを利用するのに待ち時間が発生するケースも多いのです。
ネブライザーの利用を待っている間に、喘息などの咳で体力を消耗して、体調回復に影響が出てきてしまっては大変です。

だから、ネブライザーが一家に一台あると便利。
救急箱の中には入りきらないと思いますが、ぜひ揃えておきたいアイテムです。

ネブライザーは元々、医院や病院などにある大型の装置でしたが、最近はご家庭用のものも増えてきました。
価格も1万円台のものからあり、中には、電池で駆動できる携帯用の超小型なものなどもありますので、チェックしてみてくださいね。

●オムロンさんのサイトではいろいろなネブライザーが紹介されています。
https://store.healthcare.omron.co.jp/nebulizer-net/

オススメアイテムその3
「血圧計」

最後にご紹介したいのは「血圧計」です!

若い人に血圧計のイメージを聞くと、「年配の方が使うアイテムみたい・・・」と言われることがありますが、若い人にもぜひ常備しておいていただきたいアイテムなんです。

というのも、心臓病などにつながる「高血圧」になっていないかどうかを知ることができるからです。

今の若い人は食生活の乱れから、生活習慣病にかかりやすいといわれています。
高血圧は生活習慣病のひとつ。
気付かずに放っておくと大変なことになるんです。

高血圧って言葉はよく耳にするけど、よく分からないや、という方のために「3行」で解説すると・・・。


  • 高血圧とは、血管を流れる血液の圧力が高い状態。
  • 血管の圧力が高くなると、常に刺激がかかって、動脈が痛んでしまう。
    (動脈とは、酸素を届ける血管なので、痛んでしまうと大変!)
  • 血液の圧力が高くなるということは、血液を送り出す心臓の負担も増える。だから心臓病になりやすい。

という症状のことです。

まだ23歳の私がいうのもなんですが、若い人の高血圧って本当に怖いんですよ・・・。
なぜかというと、自分は若くて元気!だからと盲信してしまい、自分の血圧を測ることなく、高血圧の症状が長期間にわたって進行するからです。

なので、若い人ほど、血圧計を使って、自分の血圧をこまめにチェックする癖をつけてください。

ちなみに、血圧には「収縮期血圧(いわゆる“上”の血圧)」「拡張期血圧(いわゆる“下”の血圧)」がありますが、以下の数値の方は注意が必要です。

収縮期血圧が135以上で、拡張期血圧が85以上

この場合は高血圧の可能性が高いでしょう。
(※血圧を測定する際には安静にした状態で測って下さいね)

あ、一般的には家庭での測定値は病院よりも低めになります。(上の数値は、家庭用血圧計のものです)
なので、病院にいくと、上の数字からプラス5をした数字が目安にされます。
だから、診察を受けると「高血圧一歩手前ですね」という診断がくだされる場合もありますが、とはいえ、収縮期血圧が135以上で、拡張期血圧が85以上の場合は注意してくださいね!

ちなみに、血圧計も救急箱の中には入らないと思いますが、救急箱のそばに置いておきたいアイテムです。

救急で病院へ行くのが必要なケース

いかがだったでしょうか。

この記事の冒頭に、軽症の際に救急病院へ行くと、ほかの感染症にかかる可能性があると書きましたが、各種救急グッズを使えば、病院へ行く前にご自身の体調を客観的に判断することができます。

軽症の場合に救急病院に行くと他の病気にうつっちゃう事もあります!自宅でケアできる場合もあるので見極めて下さいね!

ただし、当然のことながら、「やっぱり体調がおかしいぞ・・・」という場合には、救急病院へ向かってください。
むしろ、生死に関わる状態にも関わらず、救急病院へ行かずに自宅療養しているなんてことがないよう、以下に該当する場合は、速やかに救急病院の受診を検討してください。

  • 意識障害がある
  • 止血できない大量の出血をしている
  • 脱水症状になっている
  • 気管支や肺などの胸部の異常で、発作を起こしている
  • 高熱が下がらない

また、救急病院を受診する際は、できるだけ誰かの付き添いがあった方が良いでしょう。
というのも、救急病院は「救急」とは名が付いているものの、ほかの患者さんの順番待ちの関係で、すぐには診察がされない可能性があるからです。

患者さん本人は体力が落ちていることもあり、もし、診察待ちの時間に急な異変が起きた際、ナースにすぐ症状を伝えられるよう、誰かの付き添いがあると安心です。

師長!私、お父さんの誕生日に「血圧計」を贈ることにしたんです!

あら!素敵な贈り物じゃない!
そうよね、たまにはそういうプレゼントも良いわよね。
なにより、「あなたの健康に気遣っています」っていうメッセージも伝えられるし。

むふふ~。
そうなんです!

そういえば、私、最近、甥っ子の誕生日にヘッドホンと間違えて「聴診器」送っちゃったわ。

え・・・。

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