御嶽山噴火:捜索を終日見送り 火山活動活発化の恐れ

毎日新聞 2014年09月30日 13時53分(最終更新 09月30日 15時09分)

御嶽山から立ち上る噴煙。自衛隊や消防、警察の捜索隊が陸自ヘリ(左下)で山頂付近の捜索に向かう予定だったが、待機となった=長野県王滝村で2014年9月30日午前9時、丸山博撮影
御嶽山から立ち上る噴煙。自衛隊や消防、警察の捜索隊が陸自ヘリ(左下)で山頂付近の捜索に向かう予定だったが、待機となった=長野県王滝村で2014年9月30日午前9時、丸山博撮影

 長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で、両県警や自衛隊などは30日朝から心肺停止状態で山頂付近などに残されている登山客らの救出活動を再開したが、火山活動が活発になる恐れがあるとして、午前7時ごろから中断した。午後になっても状況は変わらず、捜索は終日見送ることを決めた。この日は午前11時52分で発生から3日。火山ガスなどの影響で捜索できていない場所もある中、災害時に生存率が急激に低下するとされる「72時間の壁」を越えた。

 両県警や自衛隊などはこの日、約850人態勢で午前6時ごろから地上部隊の入山を開始。同7時ごろには捜索隊を乗せた陸上自衛隊の大型輸送ヘリコプターも山頂に向け出発する予定だった。

 しかし、気象庁によると、29日午後7時20分から30日午前1時15分まで火山性微動の振れ幅が徐々に大きくなった。いったん収束しかけたものの午前6時12分ごろから噴火当日の27日夜と同程度の振れ幅に戻った。そのため、県警などは27日と同じレベルの噴火が起きる可能性があるとして、30日午前7時ごろ、地上部隊は8合目付近などで待機するとともに、ヘリの出発も見合わせた。

 火山性微動は体に感じない程度の揺れで、地下のガスや水などの流動に伴って発生すると考えられている。30日朝は火口からの噴煙も増加、8時50分現在で火口上約400メートルで東に流れている。同庁火山課は「昨夜から微動のブレ幅が大きくなっていることと噴煙の量は対応している。今後、大規模な噴火につながる前兆かどうか分からないが、27日と同規模の噴火は起きうるので引き続き警戒してほしい」と注意を呼びかけている。

 一方、今回の噴火で確認された死者12人のうち唯一身元が分かっていなかった女性は30日午前、東京都中央区新川、会社員、上方(かみかた)麻衣さん(31)と判明した。他に24人が心肺停止状態で取り残されている。

 これまでの捜索は頂上付近と頂上に至る登山ルートが中心で、頂上につながらない他のルートや、ルートから外れた場所は捜索できていない。身動きできずに救出を待つ登山者がいる可能性があるが、「72時間の壁」を迎え、捜索には噴火特有の障害も立ちはだかる。

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