従来とは異なる視点での外部リンク調査
今も重要な外部リンク調査
ウェブクルーに入社する前、私は自社サイトや競合サイトの外部リンク状況というのを事細かにチェックするのがおもな業務のひとつであった。競合サイトに対して、「いつ、どのようなリンクが、どれくらいの数張られているのか」「自社サイトにおいてもリンクを獲得できないか」といったことを延々と考えていた。当時は、作為的な外部リンクは良くないと感じながらも、SEO順位という形で如実に結果が表れてくるものだから、寝る間を惜しんで必死に調査をしたものだ。
ウェブクルーに入社し、Googleの大激震に遭遇してからはそのような過去と決別し、有料リンクや自作自演リンクなどの外部リンク施策を行わずにサイトを運営している。
このような状況下では、外部リンク調査はもう不要と思われるかもしれない。しかしそうではない。確かに、以前よりチェックする頻度は少なくなったが、いまだに外部リンクの状況調査を業務の一環として取り入れている。外部リンクはSEOのランキング評価において、今も重要な要素であることに変わりはないと考えているからだ。
外部リンクのチェック方法
以前は、「link:(任意のURL)」というコマンドで検索することで外部のサイトから張られているリンクを調査していたが、Googleが認識しているリンクはごく一部に限られることから、今ではGoogleウェブマスターツールを活用している。
※細かくチェックしたいときは、サードパーティーツールである「moz」や「Ahrefs」などを活用することもある。
ウェブマスターツールのメニューから、サイトへのリンク > リンク数の最も多いリンク元 > 詳細と進んでいくと、「自サイト内のページにリンクしているドメイン上位●件」というリストが表示されるはずだ。
そして、上図の赤枠「最新のリンクをダウンロードする」ボタンを押下すると、CSVファイルをダウンロードできる。サイトのURLが「http://www.zba.jp/hikkoshi/」の場合、「www-zba-jp-hikkoshi_20140801T010555Z_ExternalLinks_SampleLinks.csv」といった形式でダウンロードされる。
ここで得られた外部リンクのURLデータは、外部サイトから自社サイトに向けて張られたリンクのうち、Googleが認識しているものである。このCSVファイルをExcelで開くと、A列に「リンク」、B列に「初回検出(Googleが最初に検知した日付)」が一覧化されている。
しかし、これらのURLを毎回ひとつずつチェックしていくわけにはいかない。そこで、以前の記事で紹介したようにExcelで差分チェックを行う。要は、新たに認識されたリンクURLだけをチェックしていけばよいのである。
上図のように「外部リンクbefore」と「外部リンクafter」の2つのシートを用意する。ここでは、例として「ズバット 引越し比較」の2014年8月1日に取得したデータと2014年9月1日に取得したデータを比較することにする。
なお、このデータは過去に遡って取得することができない仕様のため、ウェブクルーでは毎営業日ごとにCSVデータをダウンロードしている。
■「外部リンクbefore」シート
- A列からB列に、8月1日に取得したサイトリンクのCSVデータをコピー&ペーストする
- C列を新たに追加し、下記のExcelの関数を入力する
=IF(COUNTIF(外部リンクafter!A:A,”=”&A:A),””,”●”)
この関数により、「外部リンクbefore」のリンクURLと「外部リンクafter」のリンクURLを比較し、「外部リンクbefore」にだけ記されているリンクURLに対し、●が表示される。
ただしこの「afterで消失」については、「8月1日時点では認識されていたリンクURLが、9月1日時点では認識されなくなった」ということなので、特に用途がなければ調査しなくてもよい。
■「外部リンクafter」シート
- A列からB列に、9月1日に取得したサイトリンクCSVファイルのデータをコピー&ペーストする
- C列を新たに追加し、下記のExcelの関数を入力する
=IF(COUNTIF(外部リンクbefore!A:A,”=”&A:A),””,”●”)
この関数により、「外部リンクbefore」のリンクURLと「外部リンクafter」のリンクURLを比較し、「外部リンクafter」にだけ記されているリンクURLに対し、●が表示される。
「●」でフィルタを掛けることで、新たに認識された外部リンクのURLだけを抽出することができるので、その差分となるURLをチェックしていけばよい。
外部リンクをモニタリングする目的
現在において外部リンクをチェックする理由は、大きく2つある。1つ目は、外部リンクをチェックすることで何らかの気付きを得られるため。2つ目は、外部リンクによりマイナスの影響を受ける可能性があるかどうかを検知するためである。
外部リンクから得られる気付きとは
外部リンクをチェックする際に「自社のどのページが、どのようなサイトから、どのようにリンクされているのか」という視点で見ていく。外部サイトにおいて、ユーザーに対して有益な形で引用・紹介されているリンクかどうかを見際めるのである。良い形でリンクされているようであれば、「優良なコンテンツを提供できている」と判断してよいだろう。
一方で、否定的な意見としてリンクが張られることもあるであろう。そのような場合は、書かれている内容を真摯に受け止め、自社サイトのサービス・コンテンツの改善につなげていこう。
マイナスの影響を与える外部リンクとは
企業のインハウスSEO担当者としては、ネガティブSEO(悪意を持って作為的にリンクが張られること)を受けるリスクを想定しておかなければならない。昨今はGoogleが公式ブログで公開しているように、無機質な外部リンクはマイナスの影響を及ぼしかねない。
これを回避するためには、外部サイトから張られているリンクを定期的にチェックし、不自然なリンクを見つけた際には適切な対応を取らなければならない。対応手段としては、「リンクの否認ツール」か「ウェブスパム報告フォーム」からGoogleに知らせるのがよいだろう。
余談ではあるが、2014年9月20日に行われた「CSS Nite LP36 powered by In-house SEO Meetup」において、Google社員の方々による「ライブ ウェブマスター ハングアウト」が行われた。そこでも「何か怪しいなと思った場合はGoogleに通知してください。日本語がわかる担当者がしっかりとメッセージを読み、適切に対応しています。」という趣旨の発言があったので、今後の外部リンク調査でおかしな現象を見つけたら、上記の通知方法で対応しようと考えている。
一連の調査から
ウェブマスターツールでリンク状況が確認できるということは、捉えようによってはGoogleが何かを示唆しているとも言えるので、このような有益な情報を日々の業務に役立てない手はないだろう。
今回ご紹介したような外部リンクのモニタリングをコツコツを行っていると、「なるほど、この記事はこういった形でユーザーに評価されているのか」「もっとこうしたコンテンツを作っていけば、ユーザーに役立つものを提供できるのではないか」などといった気付きを得ることができる。ちょっと手間はかかってしまうが、ネガティブSEOに対する自衛策にもなるし、何より、今後のコンテンツ企画やサイト改善に活かすことができるので、重要な業務のひとつとして継続していく所存である。