御嶽山噴火:「早く状況好転して」納まらぬ噴煙
毎日新聞 2014年09月30日 12時25分(最終更新 09月30日 13時07分)
長野、岐阜県境の御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火から4日目の30日朝、自衛隊や警察、消防による登山者らの救出活動は「火山活動の活発化の恐れ」から中断された。「待つしかない」「少しでも早く救出を」−−。安否確認ができない登山者の家族らは、少しでも情報を得ようと、ふもとに設けられた待機場所に詰めかけている。地元の住民たちは、白煙を上げる御嶽山を不安そうに見上げた。
現地対策本部が置かれている長野県王滝村役場では30日午前、関係各機関の担当者が慌ただしく連絡に追われた。役場職員らは御嶽山の火山活動監視のためのモニター画面を確認していた。
救出活動の中止について、陸上自衛隊松本駐屯地の田中浩二・第1科長は「朝から天候がよく、大型ヘリコプターや新たな装備も使う準備をしていたので非常に残念。再開の指示があればすぐに動けるようにしている」と話した。
ヘリポートになっている同村の松原スポーツ公園では、救出活動に向かうはずだった大型ヘリ2機の周りで、自衛隊員や消防隊員が白煙を上げる御嶽山を不安そうに見つめた。緊急消防援助隊に加わる名古屋市消防局の渡辺勝己消防司令長は「最後まであきらめるなと隊員に言ってきた。(噴火から)72時間が刻々と近づき心苦しい。早く状況が好転してほしい」と話した。【古川修司、堀智行】
◇地元の旅館「ほとんどキャンセル」
気象庁から再噴火の可能性も示されたことに、地元住民や商店街からは噴火の影響の長期化を懸念する声が聞かれた。
「噴火で来月以降の予約は、ほとんどキャンセル。これ以上のマイナス情報は厳しい」。長野県木曽町の旅館「山みず季URARAつたや」の経営者、池田敏生さん(59)はため息をつく。今は紅葉シーズンで観光客でにぎわう時期だが、御嶽山噴火が客足に響いている。「夏は悪天候で客足が伸びず、この時期が勝負だったのに……」と声を落とした。
王滝村で雑貨店を営む堀内征二さん(76)は「早く沈静化してほしいのに先が見通せず、とても不安。火山灰が降って、外を少し歩いただけでせきが出る。洗濯物も外に干せない。いつになったら収まるのだろうか」という。同村の柴田つねよさん(91)は「こんな自然のすばらしいところで、災害なんてとても悲しい。新たな噴火など、いつ何が起こるか分からなくて怖い」と不安そうに話した。【飯田憲、井上知大、藤沢美由紀】