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保険を知るための小さな鍵:団体保険の罠

このシリーズは主に「保険はなぜ難しく感じられるのか?」や「保険の初歩のそのまた前の段階」を中心に書くつもりでいるのだが、今回は団体保険に関する経験をいくつか書いてみる。

 団体保険とは大まかに言うと、職場や学校などで「まとめて十数人~数百人」という規模で加入する保険のことである。

大勢で加入するので、保険料が割安になるというメリットがある。

 

しかし私の見聞した範囲では、団体保険に必ずしも大きなメリットがある訳ではなく、むしろ怪しい内容であったり、料金すら安価ではなくなっているケースが多い。

 

 

ケース1:海外旅行保険

 

旅行会社のパック旅行に参加する際、

「特定の国に入国する場合は海外旅行保険に加入することが義務付けられている」

という案内と共に海外旅行保険の料金表を渡された、という話を聞いて、たまたまそれを見せてもらう機会があった。

私が扱っている保険会社と同じで、海外旅行保険のプラン名まで全く同じである。がしかし、料金が全て微妙に上乗せ料金になっており、少しもお得ではない。

「団体割引」といった文言がないので嘘ではないにせよ、さりげなく普通に入るより割増に料金設定されているのであった。

 

教訓:団体加入風だが、実はぼられていることもある!

 

 

ケース2:自動車保険

 

「今まで職場の団体自動車保険に入っていたけど、退職したからあなたの所で入りたい」

という相談を受けて契約内容を見てみると、お客様がいま現在乗っている車ではなく、以前に載っていた車のデータがそのまま残っていた。

これはお客様の不注意によるものか、団体保険の担当者がいい加減だったのか、よく分からない(あまりしつこく追求もできない)。

しかし車の入れ替えは、あればその都度、きちんと変更の手続きをしないとまずい。

場合によっては、追加保険料が十年分で何十万円、ということにもなりかねないので、これも注意が必要である。

おそらく、会社内の団体保険担当者も保険会社の担当者も、この契約の補償内容や車のデータのことなど眼中にない。

 

教訓:団体保険に担当者はいないも同然!

 

 

ケース3:専門職賠償責任保険

 

看護師のお客様から聞いた話だが、病院経由で特定の団体、たとえば「ニコニコ会」という年会費数万円の団体に入らないと、看護職用の賠償責任保険に入ることできないので、かえって損ではないかと思っている、という。

保険の内容を見てみると確かに割引料金ではあるのだが、「ニコニコ会の会費」と相殺できるほどの割引とは思えない。

また、補償内容も物に関しては「患者さんの物を壊した場合:10万円」程度に定められており、この金額を変更したりはできない。

普通に試算してみると、十万円の補償をたとえば一千万円にしてみたところで保険料はそう大幅には変わらないのである。

ちなみにこの方の場合、人や物に対する賠償責任+訴訟費用など、すべて合計で年間八千円程度の保険料である。

 

教訓:保険が数百円お得だからといって、無意味な年会費数万円を納めてはいけない!

 

 

今回のまとめ:担当者不在で割高な団体保険もある。

「団体保険がお得」という考えより、

「安かろう悪かろう」「いい話には裏がある」

という原則を忘れないように!