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卓上四季

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ガウゼの法則

生態学に「競争的排除則」という法則がある。同じ生態的地位を占める2種は共存できない、というもので、別名「ガウゼの法則」。旧ソ連の学者ゲオルギー・ガウゼが、2種類のゾウリムシを一緒に飼う実験で、やがて一方は駆逐されることを発見して命名した▼同じ環境に生きる種同士なら強い方だけが勝ち残る。何とも非情な「おきて」だが、この地球を見れば多様な生物が共存している。この法則が特殊な条件下でしか通用しないことは明らかだ▼一見、弱そうな生き物にも、さまざまな生き残り策がある。静岡大学大学院の稲垣栄洋(ひでひろ)教授は「群れる」「逃げる」「隠れる」「ずらす」に分けている(「弱者の戦略」新潮選書)▼さて、政治の世界で「競争的排除」が起き、与党がひとり勝ちしたらどうだろう。政策は効率よく進むかもしれないが、民主主義は危うくなる。結局、与党自身にも国民にも良くない未来が見える▼秋の臨時国会がきょうから始まる。第2次安倍改造内閣で初の論戦。与党の自民、公明だけでなく、野党も「小再編」されたり、党の体制を一新したりして、久しぶりに目先は一新された▼国民の「生き残り」のために実のある「競争」が見たい。争点は防衛・外交、地方振興、女性活用など多彩。「逃げ」「隠れ」は論外。野党連携の「群れ」作戦や、得意な争点に引き込む「ずらし」戦術など、知恵が問われる。2014・9・29

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