skip to contents.
米国

米国

ジェトロの海外ネットワークを通じて収集した米国に関するビジネス情報を提供しています。 RSS

貿易・投資相談Q&A

日本への輸入に関する相手国の制度など

UNIFORM COMMERCIAL CODE(米国統一商法典):米国

Q. 貿米国のUNIFORM COMMERCIAL CODE(U.C.C.)について教えてください。
A.

米国では、憲法をはじめ特許・関税・独禁法等の公法の一部、行政法や私法の一部では連邦法が制定されていますが、米国法の基本は各州政府が制定する州法です。米国50州がそれぞれ異なる法律を持っているため、商取引上の問題が複数の州にまたがる場合には、法秩序の維持統制が取る必要があります。このような視点から、連邦法の適用対象外で、連邦法では一律に規制し得ない分野について、米国法を統一する目的で作成されたのが Uniform Commercial Code(U.C.C.(米国統一商法典))です。

米国では、各州の商法を統一するに当たって、連邦法を制定するのではなくモデル法案を作成し、それを各州に採択させる方法が採用されます。1942年、米国法律協会(American Law Institute:ALI)と統一州法委員会(Uniform Law Commission:ULC)が共同事業として、U.C.C.の作成に着手しました。1951年に最終草案を作成し、1952年に最初のU.C.C.が発表されました。現在、米国すべての州でU.C.C.が採択されています(ただし、ルイジアナ州は部分採択)。U.C.C.は、実質的に米国の連邦商事法的な地位を与えられています。内容は日本の民法と商法にまたがる領域を含むものと言えます。


現在のU.C.C.は以下の通り構成されています。

第1編:総則
第2編:売買
第2編A:リース
第3編:流通証券
第4編:銀行預金および銀行取り立て
第4編A:資金移動
第5編:信用状
第6編:詐害的大量売却
第7編:倉庫証券・運送証券その他の権原証券
第8編:投資証券
第9編:担保取引(売掛債権及び動産抵当証券の売買)
第10編:施行期日および廃止規定
第11編:経過規定


1987年以降、時代の変化に対応するため、U.C.C.には頻繁に修正が加えられています。商法の専門家が作成したドラフト版U.C.C.は、ALIとULCの承認(endorsement)を得て、各州にその採択を薦めるモデル法案の最終版U.C.C.として発表されます。最近では、2010年に第9編「担保取引」が、2012年には第4A編「資金移動」の修正が行われました。

最終版U.C.C.は、ALIとULCのメンバーで構成される編集委員会(Permanent Editorial Board:PEB)が管理しています。U.C.C.の各条項の文言および解釈について、PEBが述べた公式コメントが重要視されます。ドラフト版および最終版U.C.C.の著作権はALIとULCに帰属します。ドラフト版U.C.C.は、ULCのウェブサイトで閲覧できます(無料)。また、最終版やPEBの公式コメントは、複数の法律系データベースで閲覧できます。

U.C.C.は上記の通り、法規の案文(モデル法文)であって、米国各州でその法文が法律として採択されて初めて制定法(各州の州法)となります。各州では、モデル法文を修正の上、採択するケースが多いため、U.C.C.という同じ名称・同じ条文タイトルの規定であっても、州により異なる場合があります。この点をよく確認することが大切です。

各州が採択したU.C.C.の一部は、文末のウェブサイトまたは各州政府のウェブサイトで確認できます。

 


参考資料・情報
統一州法委員会(ULC): モデル法案一覧 他のサイトへ  
コーネル大学: U.C.C.データベース 他のサイトへ

 


調査時点:2012/10

 

記事番号:A-011046

関連情報
各国・地域データ
調査レポート

印刷このページの上へ