【インタビュー】
『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(以下『ガキ使』)』『笑ってはいけない』(以下『笑いけ』)などを手がけ、この春に日本テレビを退社した名物プロデューサー・菅賢治(通称"ガースー")。これまで第1弾で著書『笑う仕事術』とダウンタウンのエピソードを、第2弾で新番組『太田と上田』『発掘!ブレイクネタ 芸人!芸人!!芸人!!!』の裏話を語ってもらった。
そして最終回のテーマは、"日本テレビを辞めた理由"と"まだあるダウンタウンとのエピソード"。どこまでもマジメに、どこまでもバカバカしい。そんな人柄がよく伝わるインタビューとなった。
まず驚いたのは、"ガースー"の定年退職が今年2014年11月だったこと。日本テレビにとってこれだけの功労者だけに、定年まで勤め上げたらそれなりのポストが用意されていたはずだ。しかし、"ガースー"は迷わず退職の道を選んだ。その理由は、「最後の2年はノルマとして週に22番組を見るのが仕事だったんですよ。ただその仕事はあくまでチェックであって、『番組が面白いかどうか』というより、粗探しなんですよ。最後の砦としてチェックすることも大事な仕事なのですが、『オレ、こんなことをするためのこの会社に入ったんだっけな。もうちょっとテレビが好きじゃなかったっけな』という思いが徐々に大きくなりました。だんだん『制作現場に戻りたい』という気持ちが抑え切れなくなったんです」。単に現場が好きというだけでなく、その表情はいかにも勝負師が見せるそれだった。
実際3月の退社後は、「希望通り現場に出られるようになって楽しい」という。"ガースー"は、「会社員は定年が決まっていて、どんな能力があっても引退しなきゃいけないですよね。でもフリーに定年はないわけで、自分で引退の時期を決められます。ただ仕事がなくなれば引退するしかないから、下手したら今年かもしれないけど」と笑い飛ばした。59歳にしてフリーのプロデューサーになったのは、「まだまだいろいろな現場を楽しみたい」というバカがつくくらいのポジティブさあってのことだろう。
興味深いのは、"ガースー"が退社後に民放各局のバラエティ番組を見まくっていること。いろいろ見ている中でも、「古巣をホメるわけじゃないけど、日本テレビのバラエティは群を抜いているなと。オリジナリティがあるし、コンセプトもよくできていて質が全然違います。6~7人ものすごい才能のディレクターがいますからね」と絶賛していた。
"ガースー"に現在のおすすめ番組を尋ねると、『世界の果てまでイッテQ!』『笑神様は突然に…』と即答。また、異様に面白いのが『月曜から夜更かし』という。「6月22日にFM NACK5で『マツコとガースー デラックスレディオ』という2時間特番をやったんですけど、最初はレギュラー番組でやりたいなと思っていたんですよ。でも、『月曜から夜更かし』がはじまって見てみたら、面白くてゲラゲラ笑ってしまいました。だから『村上信五くんほどトークの上手い人には絶対かなわないから、マツコとのレギュラー番組はやめよう』と思って特番だけにしたんです」。このあたりの嗅覚と適材適所のブッキングはさすがだ。
"ガースー"のヒット番組に関する考え方で、興味深いコメントがあった。また、それをたとえたダウンタウンとのエピソードが面白い。「以前ダウンタウンと番組スタッフとカラオケに行ったとき、浜田チームと松本チームに分けて対抗戦をやりました。『負けたチームがお勘定を払う』というルールにしたんですけど、だんだんシャンパンとか注文がエスカレートしてきて、『凄い金額になってねえか?』という空気で、ADに猛烈なプレッシャーがかかるんですよ。だからとんでもないオンチになってしまうんですけど、それがまた面白くて盛り上がりました。それを『ガキ使』で放送したことがあるんですけど、全然面白くありませんでした。これは『ダウンタウンは面白かったけど、企画がダメだった』というケースです」。確かに、現場は盛り上がりそうだが、見ている側との温度差があったのだろうか。
"ガースー"はバラエティの哲学を「番組は企画とMCが50対50の関係で、どっちが欠けてもダメなんですよ。たとえば、『このMCに断られた』としたら、その企画ってもうありえないんですよ」。実際、"ガースー"は両方そろわなければ、やめてしまっているらしい。
そしてここからのコメントが実に痛快! 「だからよく『ああ、これ3人くらいMC断られてるな』って分かる番組がありますよね(笑)。あとは、ちょこっと売れてきたら事務所にゴリ押しされてサブMCになってて、『絶対早いんだけどな~、お前が回してどうするんだよ。お前は回す人に茶々入れてナンボなのに、回す方になったら個性ゼロになるでしょ』ってのもありますね。それで当たるわけがないし、タレントを短命にするだけだから演出家も事務所もおかしいんです」とズバリ。これは今まさにわれわれ視聴者が感じていることだ。やはり「名プロデューサーは、視聴者に近い感覚も持っている」ということか。
(1) | 抑えきれなかった「制作現場に戻りたい」という気持ち |
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(2) | 40歳過ぎての教習所でヤンキーのリーダーに |
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