太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が発足から2年で、早くも転機を迎えている。経済産業省は30日、再生可能エネルギーの導入がこのまま続くと一般家庭の1カ月あたりの電気代が935円高くなるとの試算を示した。現状のまま制度を維持するのは困難な情勢で、政府は抜本的な見直しを急ぐ。
経産省は同日開いた総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会で、政府が6月時点で認定した再生エネがすべて発電を始めると、買い取り総額は現状の約4倍の2兆7018億円に達すると明らかにした。
たとえば東京電力管内なら10月の平均的な家庭の電気代は月8423円。再生エネの導入がこのまま続くと、買い取り負担額によって電気代が1割超、上がる計算だ。
2012年度に始まった再生エネ制度では、太陽光などで作った電気を固定価格で買い取ることを電力会社に義務付けている。原子力や火力発電所で作る電気よりも高い価格を設定している。そのコストは電気料金の上昇を通じて利用者が負担している。
特に、買い取り価格が高い太陽光への参入が相次ぎ、大規模な太陽光発電所(メガソーラー)の認定は再生エネ全体の82%を占める。
メガソーラーの急増は電力の安定供給にも異常をもたらしている。北海道、東北、四国、九州電力の4社はこの日の小委員会で、再生エネの新規契約の受け入れを当面は停止すると明らかにした。
電力会社は送電線にながれる電気の周波数が一定になるよう、電力消費量に発電量を合わせている。九州電などは気象条件により出力が不安定な再生エネの発電量が消費量を上回る見通しとなり、大規模な停電の恐れが出てきた。
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