「ブランド戦略の一環として」グローバル化を推進する日立製作所Webリニューアルの舞台裏
Webサイトのガバナンスをどう図るか? さまざまなステークホルダーに対する重要な接点であるコーポレートサイトの運営では、幅広い事業を展開する企業ほど、ガバナンスが大きな課題となっている。日立製作所では今年2月、中期経営計画の一環としてサイトリニューアルを実行。グローバルでの存在感を打ち出すため、46カ国/地域へ展開するプロジェクトの舞台裏を取材した。
950社、46カ国/地域、28言語で展開する一大リニューアル
押久保:日立といえば、非常に幅広い事業を展開されていますが、元々Webサイトはどのような位置付けなのですか?
西田:ブランド戦略の一環として、企業Webサイトは社外とのコミュニケーションツール、また日立のブランドを浸透させるツールの一つと考え、早くから注力してきました。おっしゃる通り事業が多岐に渡っており、またグローバル展開を考えると国内外での統一も不可欠なので、2002年ごろから特にガバナンスを図ることを重視してきました。
押久保:現在、事業の規模はどのくらいでしょうか?
西田:グループ会社が約950社あり、そのうち10社程度が上場子会社になります。海外では世界中で事業を行っているので、今回のWebリニューアルは引き続きグローバルでも統一を進めていきます。今現在は46カ国/地域、28言語で展開しています。
宣伝部 部長代理 西田健氏
押久保:主要な子会社やグループ会社は、独自でWebサイトを運営しているわけですよね。
西田:ええ。なので、宣伝部が策定しているデザインガイドラインをベースに、それぞれが表現したいことどう折り合いをつけるかは、これまでもずっと課題でした。特に、100%子会社ならともかく、上場していると当然ながら株主や市場の意見も大事になるので、各社の意向も尊重する必要があります。
中期経営計画と連動、“One Hitachi”をWeb上でも推進
押久保:立ち位置が異なる会社を束ねて、日立ブランドとして海外へも打ち出していくと。言うのは簡単ですが、なかなか難しいですよね。
西田:そうですね。ただ、グローバル化を見据えて、経営層より以前から「グループ一体となって“One Hitachi”として取り組もう」という意志が提示されていたので、それを指針にルールづくりにも理解を求めました。今回のリニューアルも2013年に発表した2015中期経営計画と連動して、グループシナジーをさらに強める目的で実施しています。
押久保:国内では誰もが知る企業ですが、グローバルではどのような状況なのですか?
西田:それが、グローバルだとまだまだなんですね。ヨーロッパでは知名度が数%という国もあります。それも家電やAV機器が主なので、まだ伸びしろがあります。また、アジアやアフリカ、南米などの途上国でも、これからもっと日立の知名度を伸ばしていきたいところです。
押久保:具体的に、今回のリニューアルまでの経緯を教えていただけますか?
西田:十数年の日立のWebガバナンスの歴史から言うと、今回のリニューアルは3回目の大きな改変になります。まず2003年、Webサイトのデザインガイドラインを初めて作成し、国内外のグループ会社でデザインなどを統一しました。次に07年、グローバル展開を前提とした統一に着手。そして14年の今回は、前回を踏まえて「厳守すべき点と任せる点」を明確化し、5月には新しいデザインガイドラインを完成させて、さらなるガバナンスの推進を図っています。
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