御嶽山噴火:宿泊キャンセル相次ぐ、イベント中止も 長野
毎日新聞 2014年09月29日 20時23分
御嶽山の噴火は、観光産業にも影を落とし始めている。秋の紅葉シーズンは、御嶽山周辺の観光施設にとってかき入れ時の一つだ。長野県山岳高原観光課の担当者は「既に宿泊をキャンセルされたという話が出てきている。影響は免れないだろう」と懸念する。
王滝村で旅館「たかの湯」を経営する家高弘文さん(62)は「登山客を中心に10月は200人以上キャンセルが出た。今夏は天候不順が続いていたが、9月に入ってからは天候が安定し、観光客でにぎわっていた。影響は計り知れない」と肩を落とした。
一方、王滝村や木曽町によると、県南部で火山灰が降ったが、いずれも「車体にうっすら積もった程度」(同町総務課)という。
農産物への被害については、木曽町で収穫前の白菜畑約18ヘクタールに灰が降り積もったことが確認されている。県農業政策課は「灰をはらったり、水洗いしたりすることで出荷できるか調査中」としている。
また、木曽町教育委員会によると、同町で28日開催予定だった駅伝大会が中止となった。交通警備などを行う警察官らが救助作業で手いっぱいなことや、降灰の危険があることから出場者の安全が担保できないと判断したという。
駅伝大会は秋の風物詩として町民に親しまれており、今年も約220人が出場予定だった。同町教委の担当者は「昨年は全長15キロのコース沿線に町民らが応援に詰めかけて非常に盛り上がった。中止は残念だが仕方ない」と話した。【真野敏幸】