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イノベーションとは新しいことをするのではなく、古い常識を捨てること

アメリカ式資本主義の終焉

20世紀は企業側から見ると「大量生産」の時代でした。
同じ質の同じモノを多くの人に、より多く売る企業が成功を収めたわけで、これが「アメリカ式資本主義」の考え方。

人々もモノが多いことで幸せを感じていました。
そして、このアメリカ式資本主義はモノもサービスも質が同じで、大量に作り出せることが売れる条件であったため、例えばどのメーカーの自動車もほとんど同じ性能という「規格大量生産」の時代を創出しました。
だから、生産システム、商品開発、マーケティング戦略、人材育成など、すべて規格大量生産に合わせた仕組みになっていて、「個性的」であることは企業にとって不要なことでした。

ところが、21世紀のソーシャルメディア時代になって世の中は大きく変わりました。
人々がモノの豊かさや量の多さに幸せを感じなくなってくるとともに、規格大量生産よりも、「個性化」や「多様化」、「情報化」に注目が集まるようになってきたのです。
分かりやすく説明すると、ある商品が売れた時、「これをコストダウンしてもっと多くの人に買ってもらおう」と発想するのがアメリカ式資本主義です。
これに対して、「これにどのような価値を与えれば、さらに高く売れるだろうか」と考えるのが、新しい時代の考え方です。

そのため、もはや今までの仕組みは通用しにくくなってきています。
だから、企業も仕組みを変えなければならないのに変わっていない。
従来の発想のままなのです。
だから業績が悪くなったり、売れなくなったり、するわけです。

知識を基盤に情報メディア企業に変わること

「安いものを提供していれば消費者が買ってくれる」なんて思っていると、どこかのスーパーのように消費者に見放されてしまいます。
より勢いのある会社に吸収合併され、苦労して築いてきた、会社やブランドまで、消滅してしまうのです。
過去の栄光にいまだに安住しようとして、「当社の映像と音声の技術力を結集して、品質のいい製品を開発していれば、売れるようになる」などと、時代遅れのシナリオを描いている電気通信メーカーのように、大企業病を患っていて、独自性を失っていることに気づかないと、経営不振になるのは当たり前。
当然の結果といってもいいのです。

過去の栄光に安住できない ビジネス環境

過去の栄光に安住できない
ビジネス環境

変化できない会社や、頭のカタい個人があまりにも多すぎ。
通用しなくなった今までの考え方や、やり方でビジネスしている企業や人間が目立ちます。
すでに新しいソーシャルメディア時代になって、ビジネスを取り巻く環境が大きく変わっているというのに、「今なお昔のままのスタイルで活動している企業がたくさんある」ということです。
これでは業績が悪くなるのも当然です。
環境が変われば、当然、企業の活動も変わらなくてはなりません。 言い換えれば、それに対応できない企業が滅亡の道に並んでしまっているわけです。
スーパーマーケットだって、電気メーカーだって、「知識」を基盤とする情報メディア企業へと変身し、情報の視点から組織改革しなければ、その企業は衰退してしまうのです。

既成概念で凝り固まっている頭には、未来の正確な姿は見えてこない

激変している新しいビジネス環境のことを、気づいていないのでしょうか。

そんなことありません。
誰だって気づいている。
あなたの会社の社長も役員も部長も、みんな知っています。 しかし、残念ながら変化できていない。
というのも、頭では理解していながら、心の底から分かっていないということなのです。
既成概念で凝り固まっている頭には、激変している正確な姿は見えてこないってこと。
ですから、「今は確かに環境が激変しているかも知れないけれど、ウチがこれまでやってきたこと、今やっていることだけは正しい」と思い込んだり、「これからもお客さんのニーズに応えて、今までのようにみんなで頑張ればうまくいくはずだ」なんて信じ込んでしまっているわけです。

要するに、これまで経験してきた世界が、まだまだ続くと考えているわけです。
ところが、それは錯覚であり、うまくなんていかないのです。
今大事なことは、過去の成功体験を捨て去ることです。
それができない企業は、変革しても小手先だけのものだったり、今までの発想の延長線上での戦略に過ぎなかったり、根本的なところが全然変わっていません。

それで、効果がないとまたかつての栄光を夢見て、またしてもやるだけムダな過去の考え方に戻ってしまう。
これを繰り返しているうちは、無駄なエネルギーと経費を遣ってしまうだけです。

今、企業にとって何よりも必要なのは「創造的破壊」です。
あなたの会社やあなた個人が好むと好まざるとにかかわらず、未来に足を踏み入れてしまっているのですから。
そして、その“次の社会”に対応するためには、今こそ変化しなければならないのです。
過去の栄光や成功体験はもう通用しなくなっている。
イノベーションが必要だということ。
それができない企業や人間は、役に立たなくなって、ビジネスの世界から退場させられることは間違いないでしょう。

結局のところ、
イノベーションというのは、新しいことをすることではなく、古い常識を捨てること。
そう言っても過言ではありません。

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藤村 正宏
1958年、北海道釧路生まれ。著書「モノを売るな!体験を売れ!」で提唱したエクスペリエンス・マーケティング(通称エクスマ)の創始者。集客施設や企業のコンサルティングを行っている。コストをあまりかけない、誰でもカンタンにできる手法で、圧倒的な成果をあげている。 執筆活動、講演活動もする。現在フリーパレット集客施設研究所主宰。

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