【シリコンバレー=兼松雄一郎】米オラクルは28日、低価格のクラウドサービスに参入すると発表した。信頼性と処理能力の高さを売り物に、世界シェアが高いデータベースソフトの顧客企業のほか、新規顧客の需要も開拓する。クラウドを巡るアマゾン・ドット・コム、グーグル、マイクロソフトなど米IT(情報技術)大手の競争がさらに激しくなりそうだ。
最高経営責任者(CEO)を退いたばかりのラリー・エリソン会長が28日に講演して明らかにした。新たなクラウドサービスは携帯端末への対応やビッグデータ分析など多様な機能をそろえる。価格は明らかにしていないが、低価格で知られるアマゾンなどと同水準とし、使った分だけ支払う方式とする。
オラクルは自社のデータベース製品を使う幅広い顧客に対し、クラウドへの移行を促す。顧客に既存のシステムをそのままクラウドに簡単に移行できるようにすることで利便性を高めたという。新規ユーザーも導入しやすいよう、汎用性も高めた。
オラクルは金融機関や大企業向けのデータベース製品で圧倒的な強さを誇る。ただ、クラウドサービスは一部に限られ、本格的なビジネスに育っていない。クラウドユーザーはIT投資に巨費を投じられないベンチャー企業も多いが、オラクルはこうした将来の有望企業への浸透が、ライバルの顧客情報管理(CRM)大手のセールスフォース・ドットコムやアマゾンなどに比べて遅れていた。
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