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【大相撲】

逸ノ城 来場所史上最速関脇だ〜 記録ずくめ47年ぶり新入幕13勝

2014年9月29日 紙面から

表彰式を終え、大勢のファンとタッチして花道を引き揚げる逸ノ城=両国国技館で(戸田泰雅撮影)

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◇秋場所<千秋楽>

(28日・両国国技館)

 史上最速の新関脇誕生へ−。逸ノ城(21)=湊=が安美錦を破って13勝目を挙げ、新入幕最多勝ち星に並んだ。また、1横綱2大関を破り、殊勲、敢闘の両賞を受賞。初土俵から5場所目での三賞受賞は雅山に並ぶスピード記録で、新入幕ダブル受賞は2000年夏場所の栃乃花(敢闘、技能)以来。記録ラッシュの快進撃で、来場所、怪物の関脇昇進はほぼ確実となった。

 日本中に衝撃を与える15日間を戦い終えた逸ノ城は充実感たっぷりだった。「よかったと思います。10勝できたら敢闘賞をもらえると思っていた。それ以上に結果が出た」。怪物は、ここまでで一番多くはにかんだ。

 1914年5月場所の両国以来、100年ぶりの新入幕優勝の快挙こそ逃したが、殊勲賞&敢闘賞のダブル受賞は2000年夏の栃乃花以来、4人目の複数三賞。新入幕13勝は67年春の陸奥嵐以来47年ぶり。71年6月に「幕内下位でも大きく勝ち越した力士を横綱、大関と取り組ませることができる」と制定されてからは初の13勝。記録ラッシュを締めくくる千秋楽で、来場所の関脇昇進は確実となった。

 偉業を成し遂げる一番でも冷静だった。安美錦に立ち合いで動かれたが、ものともせずに押し出した。「きょうは落ち着いていた。体も動いていた」。14日目の白鵬戦で負けても気持ちは千秋楽だけを向いていた。

 192センチ、199キロの規格外の体格で1横綱2大関に土をつけ、記録更新ラッシュと話題を独占した。その源には師匠の湊親方(元幕内湊富士)による厳しい指導があった。昨年九州場所の入門以来、口酸っぱく言われてきた言葉がある。「何かあったらモンゴルに帰すぞ」。どれだけ強くても甘えは許さない。逸ノ城もその言葉を真摯(しんし)に受け止め、相撲と向き合ってきた。その真面目さが土俵でのパフォーマンスにつながった。

 九州場所では新入幕から1場所、史上初の関脇として新三役を迎えることが確実だ。「うれしいです。自信もつきました。来場所は思い切って(相撲を)取りたいですね」。1年以内に大関昇進はあるか?と聞かれた北の湖理事長(元横綱)は「次の場所の勝ち越しでチャンスは近くなってくる」と九州場所の戦いが大事とみる。

 だが、逸ノ城が見据えているのはさらに上だ。支度部屋で白鵬の結びを見届けると、ちょっとだけ唇をかんだ。頭の中では得意の左上手を取って戦う姿もイメージしていた。賜杯を抱く表彰式の映像を見つめてから「いつか、ですね」と逸ノ城。鳥取城北高校時代からあこがれていた白鵬のような横綱になる−。その夢がかなう日もそう遠くはなさそうだ。 (永井響太)

 

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