木曽郡王滝村と岐阜県境にある御嶽山(3067メートル)の噴火で、長野県警は29日午後、この日新たに収容した8人の死亡を確認した。28日夜に松本市と塩尻市の県内2人を含む計4人の死亡が確認されており、死者は計12人になった。また、この日は山頂の剣ケ峰で新たに心肺停止状態の5人が見つかったが、有毒な火山ガスの濃度が高くなって午後1時半に救助活動を中止。山中に計24人が取り残されている。
県内の火山噴火では、1947(昭和22)年8月に9人が死亡した浅間山の噴火を上回り、大正時代以降で最悪の惨事となった。
県警によると、29日に収容した8人のうち、神奈川、岐阜、静岡、愛知、兵庫5県と都内の男女7人の身元が判明。残る1人の身元特定を急いでいる。
県警などによると、28日に収容した4人を含む死者計12人は、王滝頂上付近の山小屋で1人、御嶽神社頂上奥社近くで8人、王滝頂上付近と剣ケ峰の間にある「八丁ダルミ」の登山道で3人が見つかった。残りの24人は、八丁ダルミを含む王滝頂上付近から剣ケ峰の間に取り残されている。
一方、県災害対策本部によると、29日までに自力で病院に行った人などが新たに29人判明。県内でのけが人は計59人となった。ほかに岐阜県内でのけが人が10人いる。
29日の救助活動は、県警、自衛隊、消防の約820人態勢で実施。30日も同規模の態勢で早朝に活動を再開する。
29日夕の国と県合同の対策本部会議では、救助活動の中止などが報告された。
気象庁の担当者は、同日午後3時時点で噴火が継続していると報告。28日に初めて火山ガスを観測し、二酸化硫黄の放出量は1日当たり300〜700トン、平均400トンほどとした。放出量が多いかどうかは、比較できる過去の調査結果がなく難しいとした。浅間山では、活動が活発化した時に同2000トン、通常は同100〜200トンという。
長野地方気象台によると、御嶽山周辺の火山性地震は29日午前0時〜午後11時の1時間ごとに0〜5回観測。この間の噴煙は一時高さ約500メートルに達した。