【動画】救助活動をする陸上自衛隊員ら=防衛省統合幕僚監部提供
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 ひざまで積もった灰。降り続く噴石。「ふだん見慣れた御嶽山とまったく違う光景。非常に厳しかった」

 捜索打ち切り後の、29日午後3時過ぎ。火山灰がちらつく長野県王滝村の登山口で、救助活動を指揮した陸上自衛隊第13普通科連隊の中村文彦・第1中隊長が報道陣の取材に応じ、無念な様子で振り返った。

 活動場所は、標高3千メートルを超える山頂の近く。心肺が停止した状態で見つかった登山者は30人以上いた。自衛隊や警察、消防でつくる救助隊は400人態勢で早朝から、地上のルートと空路で頂を目指した。

 午前10時半すぎ、山頂に近い「一ノ池」に着陸した陸自のヘリコプター内に、地上の救助隊員が担架に横たわる登山者を1人、また1人と乗せていった。

 しかし、その後は難航した。火山灰は前日まで乾いていたが、時間の経過とともに「水蒸気を含んで固まり、泥状になっていたので足をとられた」。さらに「強い風が吹くと、火山灰で何も見えなくなった」。噴石は雨のように降り続き、大きいもので直径1センチほどにもなった。

 決定的だったのは、有毒な火山ガスだ。「特に硫化水素の濃度が高い」。同行した化学科の隊員の意見を受け、二次災害を防ぐために消防と協議。午後1時半過ぎに捜索を打ち切った。

 この日、ヘリでふもとに運んだ登山者は8人にとどまった。「非常に残念な気持ち。一刻も早く、みなさんを救出したい」