最終更新日2008年08月
ロマンス語とは?
いろいろ言語を学んだ結果、自分にあっている言葉は、インド・ヨーロッパ族のロマンス系言語。そもそも、ロマンス言語とは?
ヨーロッパでは、様々な言語が使われていますが、大きく分けて、東のスラブ語(ロシア語系統)、北西のゲルマン語(英語・ドイツ語・オランダ語...)、南西のロマンス語です。この3つで、私が得意なのは、ロマンス語。
ロマンスと聞くと、ラブ・ロマンスを想像する人もいるかも知れませんが、ロマンス語(Romance Language)は、「ローマ風の言語」という意味で、ラテン語に由来する言語のことを指します。なので、ラテン系、イタリア系とも称され、生きてるラテン語とも言えます。
ロマンス語に属する言語は、東から、ルーマニア語、イタリア語、サルデニア語、レティア・ロマンス語、フランス・プロヴァンス語、フランス語、オック語、カタルーニア語、スペイン語(カスティージャ)、ガリシア語、ポルトガル語などで、使われているヨーロッパの国々は、下記地図の赤いところです。
注意1: 言語学者によっては、ルーマニア語・モルドバ語を外す人もいます。また、モルドバ語は、ほぼルーマニア語とも言えますが、ラテン文字でなくキリル文字を使っていて、旧ソ連時代にルーマニア語とは違うことを強調してます。
注意2: 現在の国土で塗りつぶすと上のようになりますが、地域によっては、ロマンス語に属しない言語が使われているところもあります。 例:スペインのバスク地方では、バスク語が今も使われています。
ロマンス語に属する言語といっても、決して少なくないけど、ローマ(正確には、もっと北のSpezia-Rimini の境界線)を中心に、西側(西ロマニア)と東側(東ロマニア)に2分して、大まかに特徴づけることもあります。
学術的に記述すれば、こうなります。
日本で比較的なじみがある(認知度が高い)のは、イタリア語・フランス語・スペイン語、あとは、ポルトガル語でしょうか。ちなみに、これらは、伊語・仏語・西語・葡語と、日本語で略して書いたりします。
また、フランス語・スペイン語・ポルトガル語は、英語と同様に、ヨーロッパ以外の様々な国々・地域で使われ、独自の変化をしたり、逆に、本国でも使わなくなったクラシックな表現が残っていたりもします。
ところで、ロマンス、ロマンティックなど恋愛のニュアンスがあるのはなぜか?
昔々は、フォーマルな文書を書くときは、ラテン語を使い、恋愛小説などのカジュアルな文書は、ローマの俗語で書かれた。これが期限で、フランス語では、"roman->小説"、これが英語では、romanceと変化し、日本語には外来語で入ってきたようです。 あくまでも通説ですが、イタリア人の恋愛ネタ好きのDNAは、古代から現代に受け継がれているのだろうと、個人的に思います。
効率的に学ぶには?
さて、ロマンス語の中で、どの言語を学ぶか?
私の意見は、好きな国、好きな文化、好きな友人がいるなど、自分の興味ある言語を選択するのが良いです。
興味もなく、ただなんとなく、という動機では長続きしません。
また、それぞれの言語に対して、この言語は易しい、あの言語は難しいと様々な意見をよく耳にします。でも、どんな言語であろうと、習得するのは簡単じゃありません。しかも、易しいと難しいの定義が、適当なのが多いです。私が思うには、母国語と乖離が大きければ難しく、少なければ習得しやすい。と考えるべきです。さらに、学びたい言語が使う頻度が、多いか少ないかがさらに重要です。
でも、ロマンス語を1つでも多く、マスターするぞ!
というのなら、日本人にとっては以下の順番で手をつけることをお奨めします。
これは、尊敬する猪浦先生の意見でもあり、私も強く同意できます。
理想的順番 英語 → フランス語 → イタリア語 → スペイン語 音声面 母音が多く、不規則。 発音は難しいが、規則的。 発音はシンプルで、規則的。 母音が少なく、規則的。 文法面 シンプルだけど不規則。 厳格で規則的。 複雑かつ不規則。 シンプルで規則的。
英語しか勉強したことがない英語の上級者は、「英語の文法はシンプルで体系的」と口にするけど、ゲルマン系とロマンス系が混在し、シンプルにしきれず、実は例外の多い言語体系。しかも英語は、ネイティブよりも、ノンネイティブの話者が多いという特性もあるため、多言語との干渉が多く、秩序が保てない特性があります。
私の場合は、英 → 仏 → 西 → 伊 の順で、仏語があまり身につかない段階でスペイン語に移ったため、フランス語をやり直すのに抵抗感を感じ、イタリア語を学ぶにしても、例外の多さがとても面倒に感じる。本当はポルトガル語も手を出したいけれど...。
ロマンス語学習者ならではの暇つぶし
「あれ。この単語、他の言語ではなんて言うんだっけ?」とちょっと思ったら調べられずにはいられない。
簡単な単語なら、Allwords.comで、パッと分かるけれど、うまくいかないときは紙の辞書の出番。
上から、
Larousseの仏英/英仏
Larousseの西仏/仏西
Larousseの西伊/伊西
Oxfordの英西
英語の達人が口にする、英英辞書はよっぽどの事がない限り使わないけれど、これらの辞書は結構使う。
正確に計ったことは無いけれど、自分の語彙は英 > 西 > 仏 > 伊 の順と思う。語彙の手薄なフランス語やイタリア語の文章では、英語やスペイン語の知識を頼りに、こんな意味だろうと推測し、その確認で辞書を開く。また、西・仏・伊のうち2つで単語が浮かぶ場合は、なんとか3つそろえようと思って調べることも。語源が同じで、西・仏・伊で似たような綴りのときはニンマリするけど、どれか一つだけまるで違うことも多々ある。
ロマンス言語関連のお奨め本
ロマンス言語間のクロススタディーに向いた本はあまりないのが実情。せいぜい、"英語で学ぶフランス語"、"英語で学ぶイタリア語"など、英語をもとにした学習本がある程度。個人的な意見としては、"英語で学ぶ〜"というタイトルで日本語解説されていてる本を買うなら(そもそも不自然な英文が多い)、英語で書かれたフランス学習書やイタリア語学習書を買った方が効果的。
もし、お奨めの本があれば、ご連絡下さい。ここでは、実際に購入して使ってみた本を列挙します。
タイトル コメント 「フランス語・イタリア語・スペイン語が同時に学べる本」というタイトルは売上げ目的で付けられたもので、「〜が同時に学べる本」でなく「〜の知識が整理できる本」と捉えれば、なかなかの本。
amazon.comでは、厳しい意見も多く寄せられているけれど、こういうテーマでかつ、一般向けの本は他に無い。変だと思う箇所はどんどん自分で書き込んで、カスタマイズして使うべし。
上の本と比べると、ハードルが低い気がしないでもないけれど、欲張りなタイトル。この本だけで、二カ国語をマスターできないけど、敬遠しがちな文法事項をコンパクトにまとめて覚えられるのが素晴らしい。ただし、初心者には難しく、中上級者には物足りない。中途半端な印象があるため、なかなか売れないんだろうなぁ〜。
Italiano facil y util para hispanohablantes
VALLARDIスペイン語スピーカー向けのイタリア語学習本。つまり、スペイン語で解説されています。かなりお気に入りの本。
値段は高いし、内容は小難しい。
でも、思わず唸ってしまう内容がちりばめられている。