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ごーみ

人間が求める本当の価値とは

「お金」は限界効用が逓減しますが、「評価」は逓増します。
経済学の用語を使いましたが、難しい話ではありません。


限界効用というのは、なにかを一単位追加したときに、そこから生まれる富(効用)のことです。これをお金で考えると、財布の中の一万円に一万円が追加されて二万円に増えれば幸福感(効用)は大きく増大するでしょう。
逓減というのは、原材料を一単位追加したときの効用がだんだん減っていくことです。10億円持っている人が一万円増えても幸福感にほとんど影響はありません。このようにお金の効用は、貧乏なときはものすごく大きいのですが、資産が増えていくにつれてだんだん減っていって(逓減して)最後にはゼロになってしまいます。
それに対して、「評価」は効用が逓増します。文化人、芸能人、政治家、経営者などの職業に関係なく、一度有名になればもっと有名になりたくなります。それと同時に自分が有名人の地位から脱落して人々から忘れられることをものすごく恐れるようになります。

「お金」の効用が逓減するのに、「評価」の効用が逓増するのは、「評価」こそが社会的な動物である人間が求める「本当の価値」だからでしょう。我々は、仲間から高く評価されたり、恋人から愛されたときなどに大きな幸福感を感じます。貨幣はその代替物にすぎないので、お金と評価のトレードオフではほとんどの人が評価を選択します

単にお金を儲けるだけなら、人の嫌がる汚れ仕事の方が人的資本の投資効率は高いですが、アメリカの一流大学でMBAを取得した人たちがそうした仕事を選択しないのは、大儲けできたとしても、社会的な評価が得られないからです。

インターネットの普及により、評価はグローバル化するとともに可視化されるようになりました。このことによってマスメディアや口コミしか伝達媒体がなかった時代よりも評価の効用が高くなりました。それと同時に、評価が簡単に手に入ればお金の効用は低下します。このような評価経済が成立すると、理論的には人はこれまでよりもずっと少ない貨幣で満足し、それ以降は評価を獲得することに夢中になるはずです。
青山に土地を買って豪邸に住んでカイエンを乗り回して、プライベートジェットで旅行して金持ちぶりを見せびらかしてもたいした注目を集められなくなって、無意味な金儲けに興味を持たなくなってくるのです。


なんのために生きているのかと問われればほとんどの人は「幸せになるため」と答えるでしょう。

他者から評価を得るためのインフラストラクチャーが整ったいま、外の世界に評価が繋がっていない閉鎖的な会社に滅私奉公して多くのお金を稼ぐよりも、会社での仕事はそこそこにして(ゆるい就職)、空いた時間で自分の好きなことをやって多くの評判を得ることの方に幸福感を感じる人がいてもなんら不思議ではありません。


評価経済社会・電子版プラス

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