9月初旬以降、為替市場でドル高・円安が急速に進み、1ドル110円の水準が射程に入ったと見られる。
この背景には、日米の金利差が拡大していることがある。日米の金融当局のスタンスを見ると、今後も金利差は拡大する可能性が高い。
金利差の拡大に注目して、ヘッジファンドや為替ディーラーなどはドル買い・円売りのオペレーションを積極化している。そうしたオペレーションを見ると、当面、ドル高・円安のトレンドに大きな変化はないだろう。
一方、ドル高・円安のペースが急だったこともあり、どこかの時点で投機筋が利益確定のドル売り・円の買い戻しを行うことが想定される。その場合、ドル高・円安の動きが短期的にやや反対方向に動くことも考えられる。
米国の中間選挙時、ドルは強すぎない方がよい
為替市場の参加者にとって、気になる要因の一つに11月の米国中間選挙がある。中間選挙では上下両院議員の選挙が行われるため、米国にとって極めて重要なイベントである。その選挙で勝利するためには、ドルがあまり強すぎない方がよいだろう。
ドルが強くなることは、米国の輸出企業にとってはマイナス要因だ。為替要因で輸出企業の業績が悪化すると、政府の経済政策の運営に批判が強くなることが想定される。それは明らかに、政権政党である民主党には逆風となる。
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