Facebookをぼんやり眺めていると気分が落ち込むのに、それをやめられない理由
Facebookが精神状態に悪影響をおよぼす可能性があることを示唆する、学術的な論文は大量にあります。そんなものは必要ないという人もいるかもしれませんが、ソーシャルメディアが気分に何かしらの影響を与えているのではないかと疑っているのであれば、それを裏付ける研究はいくらでもあります。
最近、米誌「The New Yorker」でMaria Konnikovaさんが、Facebookが人生の満足度を下げ、皮肉なことに孤独や嫉妬を感じさせるというものを含む、研究結果をまとめていました。Facebookは、嫉妬心を煽ることにより、人間関係にトラブルを起こすことさえあります。
このように、Facebookによって気分が落ち込むという情報をいくつも知っていながら、Facebookをやめられない人が多いのはなぜでしょう?
オーストリアのインスブルック大学の2人の心理学者は、最近の一連の研究と現象を調べ、ソーシャルメディアをやめにくい理由として、単純ながら決定的な可能性を思いつきました。人間は、自分を幸せにするものを予測するのが本当に苦手だということです。
意味も無ければ、幸せでも無い
研究者たちは、ソーシャルメディアに関する既存の認識を確認するために実験をしています。ソーシャルメディアは本当に私たちを不幸にしているのでしょうか? 被験者の気分とFacebookの利用に関する最近の簡単なアンケートでは、まったく予想通りの結果が出ました。Facebookを見た人は気分が落ち込んでいました。
次に、研究者は被験者を3つのグループに分けました。1つ目のグループにはFacebookを見てもらい、2つ目のグループにはネットサーフィンをしてもらい、最後のグループには特に何も指示を出さず好きにしてもらいました。実験が終わって、3つのグループすべてに、自分がやっていた行動と気分に関するアンケートを取りました。Facebookは、被験者の気分に悪影響を与えただけでなく、有意義ではないこともわかりました。まったく意味の無いものに無駄に時間を費やしてしまったという感覚が、Facebookユーザーの気分を落ち込ませているのです。
そこまで衝撃的ではありませんが、最後の実験は意外な結末でした。この研究では、研究者はFacebookユーザーに、どのくらいFacebookが自分を幸せにすると思うか、事前に予測してもらっていたのです。その結果、ユーザーはソーシャルメディアが気分に与える影響について、そこまで深刻に考えていませんでした。
研究者のChristina Sagioglouさんは「Fast Company」でこのように説明しています。「ユーザーは、Facebookを使うことで精神的に悪影響があるという予測がうまくできていないようで、自分の気分が落ち込むという悪影響を認識できていない可能性が高いです」。
Facebookにどのように騙されているか
人間は、人生におけるあらゆる局面で、何が自分を幸せにするかを予測するのが本当に苦手です。しかも、ことFacebookに関しては、特にこの失敗を犯しやすいのかもしれません。1つには、Facebookは人間関係に欠かせない、とても強力な基本的な役割を担っているからですが、他の要因もあります。
別の研究では、ソーシャルメディアで積極的にコミュニケーション(投稿したり、友だちの投稿にコメントをしたり)することは、一般的にとても意義のあることで、気分を落ち込ませるような影響はありませんが、他人のコメントや写真を見るという受動的な行動は、虚しく憂鬱な気持ちになるということが証明されています。FacebookのURLをブラウザに入力する時は、積極的に使うだけでなく、ぼんやりと眺めるだけということもあります。
「基本的に、他人の情報を受動的に消費するのは時間の無駄だと思われているので、気分が落ち込むのでしょう。ですから、そのような行動は慎むのが賢明です」とSagioglouさんは結論付けています。
今度Facebookを見て気分転換しようと思った時は、この研究結果のことを思い出して、自分がいかに無意味なことをしているかを確認するだけだ、ということを自分に言い聞かせましょう。オンラインで数分間の気分転換をするだけなら、もっと良い方法が他にもたくさんあります。
Why You Can't Stop Checking Facebook|Inc.
Jessica Stillman (訳:的野裕子)
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