都議会自民党:「舛添都市外交」に「優先度は低い」と異論
毎日新聞 2014年09月27日 12時12分(最終更新 09月27日 14時19分)
2020年東京五輪・パラリンピックに向け、精力的な都市外交を展開する東京都の舛添要一知事に、都議会最大会派の自民党が異を唱え始めた。都の政策課題として優先度は低いのではないか、というのだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談直後、「暖かい風を吹かせることができた」と自負した舛添氏だが、知事選で支援を受けた自民との間にはすきま風が吹く。【竹内良和、川口裕之、和田浩幸】
「都政課題が山積する中、海外出張の優先順位が高いとは思えない」。24日の都議会本会議場。自民党の村上英子幹事長が会派の代表質問で疑問を投げかけた。同じく与党会派の公明党が、代表質問で「国家間の外交で課題が山積する中、民間や自治体の交流が求められている」と評価したのとは対照的だ。
村上氏は「善意が必ずしも相手に通じるとは限らない。リスクを避けて(東京の)都市問題解決など実務に徹すべきだ」と強調。舛添氏と会談した朴大統領の従軍慰安婦問題への言及なども背景に、知事の「友好路線」への疑問をにじませた。自民会派内には「大統領に言いたいことを言わせただけ」(中堅都議)との不満も漂う。
自民の代表質問に対し、舛添氏は26日の定例記者会見で「議会の役割は行政権のチェック。いろんな批判は当然で、こちらから何も言うことはない」と述べるにとどめた。
舛添氏の海外出張は、2月の冬季五輪を視察したロシア・ソチを皮切りに、就任7カ月で5回のハイペースだ。都幹部の一人は「韓国や中国と関係が悪化したままでは、東京五輪のボイコットも心配しないといけない」と北京、ソウル訪問の意義を強調する。都市外交強化のため7月には「外務長」ポストを新設。外務省から前駐英特命全権公使を迎えた。
国際政治学者などのキャリアを持つ舛添氏にとって、都市外交は内外に存在感を示す武器と言える。知事選では自民、公明両党から公認候補並みの支援を受け、「しがらみが多く、なかなか思い切ったことができない」(都幹部)との事情もある中、中韓訪問は両国との関係改善の糸口をつかみたい安倍晋三首相の期待に応える形にもなり、手を付けやすいテーマだった。政府関係者は「意思疎通のパイプをつなげてくれたのはありがたい」と語る。