上がコケて昇進 新役員は「吉田調書」誤報を世界中にバラ撒いた
木村社長のお詫び会見とあわせ、杉浦信之取締役・編集担当(56)は、その職を解かれた。後釜に据えられたのはデジタル・国際担当の西村陽一取締役(55)。が、この後任こそ、“世紀の誤報”を世界にバラ撒いた張本人だった。
さる朝日関係者が言う。
「更迭された杉浦さんと同期入社の西村さんは、政治部からモスクワやワシントンの特派員などを経て、12年に別刷『GLOBE』編集長、昨年6月には取締役に就任しました」
今回、思わぬ形でポストが転がり込んできたのだが、
「西村さんは、なぜか不祥事のたびに駆け上っていく稀有な存在です」
とは、ベテラン社員である。
「2005年8月、長野総局の記者が架空の取材で田中康夫知事に関する記事を掲載した、いわゆる“虚偽メモ問題”で、当時の政治部長が更迭され、後任としてアメリカ総局長だった西村さんが呼び戻されたのです。ちなみに当時、東京本社編集局長だった木村社長は、やはり欧州総局へと転出する破目になりました」
珍奇な出世街道を歩んでいる西村取締役は、
「周囲からは“脳みそ外国人”と呼ばれています。東大出でいかにもキレ者といったタイプですが、頭の回転だけでなく喋るのも速く、会議では半分くらい聞き取れないこともある。これまでどうやって取材してきたのか、と不思議なくらいです」(前出・関係者)
とはいえ、社長の覚えは格別だというのだ。
■イタリアでアピール
その“ホープ”が、火に油を注ぐような振る舞いをみせたのは今年6月。イタリア・トリノで開催された恒例の「世界新聞大会」の場であった。『新聞協会報』によれば、100カ国近くから1000人のメディア関係者が集まったといい、朝日からは西村取締役が出席。壇上で「吉田調書」をめぐる自社の報道を紹介し紙面に先駆けてネットで公開したことについて、
〈読者開拓の実験だった〉
〈スマートフォンによる閲覧が大半を占めており、若者へのアプローチに効果的〉
などと言及。結果として自ら世界に大誤報を発信してしまったわけである。
さらに後日、西村取締役は業界誌『新聞研究』14年8月号に、
〈新時代の新聞社の力とは〉
と題した論文を寄稿。朝日新聞デジタルの〈コンテンツ進化を象徴した〉ケースとして再び吉田調書を挙げ、〈紙とデジタルの両面で多角的に報道〉した結果、
〈特ダネ告知の手法、記事の内容と見せ方に多くの称賛の声をいただいた。識者からは「ジャーナリズムのイノベーション」(略)といった高い評価が寄せられた〉
そう自画自賛を繰り返していたのだった。
朝日新聞に質すと、
「ご指摘には真摯に耳を傾け、今後に生かしてまいります」(広報部)
世界中に撒き散らした誤報は、お得意のデジタルを駆使したところで、易々と“消去”できそうにない。
さる朝日関係者が言う。
「更迭された杉浦さんと同期入社の西村さんは、政治部からモスクワやワシントンの特派員などを経て、12年に別刷『GLOBE』編集長、昨年6月には取締役に就任しました」
今回、思わぬ形でポストが転がり込んできたのだが、
「西村さんは、なぜか不祥事のたびに駆け上っていく稀有な存在です」
とは、ベテラン社員である。
「2005年8月、長野総局の記者が架空の取材で田中康夫知事に関する記事を掲載した、いわゆる“虚偽メモ問題”で、当時の政治部長が更迭され、後任としてアメリカ総局長だった西村さんが呼び戻されたのです。ちなみに当時、東京本社編集局長だった木村社長は、やはり欧州総局へと転出する破目になりました」
珍奇な出世街道を歩んでいる西村取締役は、
「周囲からは“脳みそ外国人”と呼ばれています。東大出でいかにもキレ者といったタイプですが、頭の回転だけでなく喋るのも速く、会議では半分くらい聞き取れないこともある。これまでどうやって取材してきたのか、と不思議なくらいです」(前出・関係者)
とはいえ、社長の覚えは格別だというのだ。
■イタリアでアピール
その“ホープ”が、火に油を注ぐような振る舞いをみせたのは今年6月。イタリア・トリノで開催された恒例の「世界新聞大会」の場であった。『新聞協会報』によれば、100カ国近くから1000人のメディア関係者が集まったといい、朝日からは西村取締役が出席。壇上で「吉田調書」をめぐる自社の報道を紹介し紙面に先駆けてネットで公開したことについて、
〈読者開拓の実験だった〉
〈スマートフォンによる閲覧が大半を占めており、若者へのアプローチに効果的〉
などと言及。結果として自ら世界に大誤報を発信してしまったわけである。
さらに後日、西村取締役は業界誌『新聞研究』14年8月号に、
〈新時代の新聞社の力とは〉
と題した論文を寄稿。朝日新聞デジタルの〈コンテンツ進化を象徴した〉ケースとして再び吉田調書を挙げ、〈紙とデジタルの両面で多角的に報道〉した結果、
〈特ダネ告知の手法、記事の内容と見せ方に多くの称賛の声をいただいた。識者からは「ジャーナリズムのイノベーション」(略)といった高い評価が寄せられた〉
そう自画自賛を繰り返していたのだった。
朝日新聞に質すと、
「ご指摘には真摯に耳を傾け、今後に生かしてまいります」(広報部)
世界中に撒き散らした誤報は、お得意のデジタルを駆使したところで、易々と“消去”できそうにない。
「特集 十八番の「自虐」はどこへ行った? 『朝日新聞』謝罪が甘い!!!」より