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新味なしの検証をダラダラ流した報ステ「古舘伊知郎キャスター」――「朝日新聞」の謝罪が甘い!(2)
「もし圧力がかかって、番組を切られても、私は、それはそれで本望です」

 お得意の原発批判で、タブーなき報道を標榜する古舘伊知郎キャスター(59)はかつて報道ステーションでこう語ったものだ。しかし、彼も本当のタブーには斬り込めなかった。テレ朝の大株主、朝日新聞社の慰安婦虚報問題では、この間、1カ月以上もダンマリを決め込んだ。木村社長の会見日にようやく検証番組を報じたが、1時間近くダラダラ流した中身に新味はなかった。

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 言うべきことを言った池上彰さんと、木村社長の謝罪会見まで「沈黙は金」の姿勢を堅持した古舘キャスター。いずれも社会に対する発信力が大きい2人だが、その対応が織り成すコントラストは凄烈を極めた。

「吉田証言というのは、でたらめであったということが明白になりました」

 遅まきながら、カメラを見据え、こう語る古舘氏。その後、彼はこう宣(のたも)うた。

「河野談話は、この吉田証言の影響を受けているのかいないのか、こういうあたりははっきりさせておかなくてはいけない」

 そして番組は、慰安婦募集の強制性を認め、謝罪した93年の「河野談話」を見直すべきか否かに焦点を移していくのだ。

 当時、この作成に関わった石原信雄・元官房副長官らにインタビュー。「(吉田証言は)かなり怪しいなという感じは持っていたようだ」「吉田証言を直接根拠にして強制性を認定したものではない」という証言などから、河野談話は吉田証言をベースにしていないと結論付けた。では、何を根拠に慰安婦募集の際の強制性を認定したのか。

 それについて、報道ステーションが挙げたのは、韓国側の要請に応じて、日本政府が行った16人の元慰安婦への聞き取り調査だ。曰く、

「証言から、“意に反して慰安婦となった人たちがいた”と、日本は初めて認めた」

■天皇からの召集令状!?

 かくして、後は自虐史観になだれこむ。「河野談話」の核心を、意に反して慰安婦にされた女性がいることについての謝罪と再評価。最後は隣の恵村順一郎・朝日新聞論説委員が、

「慰安婦の問題は消すことができない歴史の事実。軍の管理下で自由を奪われ、人権や尊厳を踏みにじられた女性がいたことは確か。救済の手を一日でも早く差し伸べるために、日本と韓国の政府がやらなければならないことはたくさんある」

 日本政府が国家賠償すべきだとすら聞こえるのだ。

「吉田証言は、河野談話には引用されていないが、こういうものを作らないといけない雰囲気を作り出した。92年の宮沢喜一総理の訪韓、謝罪には吉田証言が関係しており、それが翌年の河野談話につながるのです」

 と語るのは、自身も報ステからインタビューを受けた西岡力・東京基督教大学教授だ。

「取材を受ける中で、私は、植村隆元記者による元慰安婦、金学順さんの紹介記事も検証すべきだと主張しました。彼女の場合は、親によってキーセン(妓生)学校に売られた身売りのケースなのに、その部分は伏せられ、彼女が経歴として語ったことのない、“『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』”と書いた。意図的とすれば、記事捏造の疑いもある。しかし報ステは、私のそのコメントをカットし、植村記事の検証を番組に反映していない」

 産経新聞編集委員の阿比留瑠比氏もこう喝破する。

「16人の元慰安婦への調査についても、報告書の分量はA4判の紙で13枚しかなかった。名前や生年月日もまともに教えてもらえず、属性が不明の人が多くいました。その中には、親に身売りされたケースである金学順さんも含まれていた。また大阪や熊本などで慰安婦をさせられたという元慰安婦たちもいましたが、それらの地には慰安所はなかった。なかには天皇からの召集令状を突きつけられ、慰安婦となったという荒唐無稽な証言もあったのです。かように元慰安婦の証言は信憑性が疑わしいもので、裏付け調査もきちんとしていない杜撰なものだった。報ステはその検証を行っていない」

 さらに、今年行われた、政府の「河野談話」検証で、驚きの事実が露見している

「元慰安婦からのヒアリングは河野談話を発表するわずか数日前に行われたもので、そもそも強制性を認めた原案はすでに作られていたことまで判明した。つまり、彼女らからの聞き取りは形式的に行ったに過ぎなかったのです。証言が河野談話の根拠になっていないことが明確になったわけですよ。しかし報ステの検証はこうした最新情報も全く加味されていない」(同)

 もはや河野談話そのものの見直しが急務と言えよう。

「特集 十八番の「自虐」はどこへ行った? 『朝日新聞』謝罪が甘い!!!」より
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