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喉から手が出るほど欲しい免罪符「池上彰」コラムの再開確率――「朝日新聞」の謝罪が甘い!(1)
 非を非と直言したのが侮辱ならば、すべての忠告は無礼なものだ――。朝日新聞のロシア特派員でもあった二葉亭四迷は『浮雲』に大要、こう綴った。朝日が侮辱と受け取ったか否かはともかく、池上彰氏(64)の直言を葬り去ろうとしたのは事実である。“免罪符”として朝日が切望する氏のコラム再開には、未だ暗雲が垂れ込めている。

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 池上氏本人が朝日との“事件”を振り返るには、

「私が書いた内容をそのまま掲載して頂く条件で始まったコラムなので、それが出来ないのであれば打ち切らせてください、と申し入れました。打ち切りを口にした以上、この連載は終わったと考えていましたよ」

 ご承知の通り、朝日は8月29日に予定されていた池上氏のコラム『新聞ななめ読み』の掲載を拒絶。しかし、本誌がその顛末を報じると知るや、一転してコラムの掲載に踏み切ったのである。その間、一貫して“朝日は謝罪すべき”と説いてきた池上氏は、木村社長の会見について、

「新聞社は紙面で勝負すべきだと考えているので、この件に関する訂正や謝罪も本来は紙面できちんと行うべきでした。しかし、今回はそれが遅すぎたせいで記者会見を開くに至ったのでしょう。みっともないことではありますが、自らの誤りを認めて謝罪した点ではよかったな、と思います」

■“全くの白紙”

 池上氏に対する“言論封殺”的な掲載拒絶には、現役の朝日記者からも公然と批判が巻き起こった。

 朝日の幹部社員によれば、

「池上さんの一件では、記者たちが実名のツイッター上で社の判断を批判した。対外的にはもちろん、社員のモチベーションを維持するためにも連載を再開させてもらいたい」

 もちろん、最終的な判断は執筆者に委ねられている。しかし、その点に関しては池上氏も口が重い。

「連載再開については全くの白紙です。やはり、朝日は慰安婦問題を初めて採り上げてからの32年間に何があったのかをきちんと検証すべきでしょう。ただ、新聞社が独自に手掛けても、先輩記者の行いに対して及び腰になる可能性はあります。朝日は第三者委員会を立ち上げて検証すると発表したので、まずはそれを見守りたい。連載再開は、そうした今後の方向性を見極めてから判断します」

 再開確率をゼロにするのも100にするのも、出直しへの“覚悟”次第だろう。

「特集 十八番の「自虐」はどこへ行った? 『朝日新聞』謝罪が甘い!!!」より
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