政府の税制調査会(首相の諮問機関)は29日、所得税改革の議論に着手した。専業主婦らがいる世帯の所得税を軽減する配偶者控除の見直しを中心に検討する。まず10月から小委員会を開き、11月をメドに論点整理をとりまとめる。2年後にまとめる中間答申に向け、議論を詰める。
29日に開いた総会後に中里実会長(東大教授)は「性別や年齢に関係のない職業選択を所得税がゆがめないのが理想だ」と述べた。配偶者控除は妻の年収が103万円を上回ると控除額が減ることから働く時間を抑える主婦も少なくない。
配偶者控除の見直しでは、妻の年収に関係なく夫婦で一定額の控除を認める案などが浮上している。高齢者世帯の税負担を軽減している公的年金等控除など所得税全体を見直し、働き方に中立的な税制を議論する。
中里会長は「今から議論して年末の税制改正に間に合わせることではない」と話した。所得税の見直しは2016年度以降の税制改正に反映される可能性が高い。今年の年末の税制改正の焦点である消費税や法人税の議論は政府税調ではしない見通しだ。政治的な利害調整が絡むテーマだけに、与党の税調に議論を任せる。
今春の政府税調の議論では配偶者控除に焦点を絞っていたが、増税となる専業主婦世帯の反発が強かった。政府税調は配偶者控除だけでなく所得税全体で見直すことで、国民の納得感のある税体系を探る。
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