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核のゴミ施設は再稼働の条件に
9月29日 19時28分

核のゴミ施設は再稼働の条件に
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原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のゴミ”について、日本学術会議の分科会が、核のゴミを暫定的に保管する施設を電力会社が確保することを再稼働の条件とすべきとする報告書をまとめたことを受けて、学術会議の委員長が記者会見し、「国が再稼働に際して放射性廃棄物への対応を示していないことは問題だ」と訴えました。

日本学術会議は、おととし、原発から出る核のゴミを地下深くに埋めて処分するという国の計画は行き詰まっているとしたうえで、数十年から数百年暫定的に保管し、その間に新たな技術の開発や国民的な合意を形成すべきだと提言しています。
今回の報告書は、この提言を受けて学術会議の分科会でまとめられ、核のゴミの暫定的な保管は30年を1つの区切りとして、そのつど、その後の選択をすべきだとしています。
そのうえで、再稼働は、新たに発生する核のゴミを暫定的に保管する施設を電力会社の責任で確保することを必要条件にすべきとして、「その点をあいまいにしたままの再稼働は将来世代に対する無責任を意味するので容認できるものではない」としています。
日本学術会議で高レベル放射性廃棄物の処分の在り方を議論している委員会の委員長で、東京工業大学の今田高俊名誉教授は、29日記者会見し、「国が再稼働に際して放射性廃棄物への対応を示していないことは問題だ。その一方で、暫定保管のための施設を電力会社が用意するとなると10年も20年もかかり、現実的にどう考えるのかは悩ましい問題だ」と述べました。
日本学術会議は今後も議論を重ね、年内にも新たな提言をまとめたいとしています。

暫定保管は地上が基本

報告書では、原発から出る核のゴミについて、国が基本方針としている使用済み核燃料を再処理してウランやプルトニウムを取り出した残りを処分するだけでなく、再処理せずにそのままゴミとして処分するケースについても技術的な検討を加えています。
この中では、いずれのケースも技術的に可能としたうえで、経済性や安全性を考慮すると使用済み燃料プールのような水の中で長期間保管するのではなく、金属やコンクリート製の容器に入れて保管することが適しているとしています。そのうえで、管理のしやすさから保管場所は地上を基本としたうえで、その場合に求められる地質の条件は、従来の原発などの立地条件とほぼ同様と考えられるとしています。

「暫定保管の具体策を」

今回の報告書について、国の原子力委員会の元委員で、長崎大学の鈴木達治郎教授は「核のゴミをどう処分するかについて、国民の合意形成を進めることが必要だが、まだ時間を要する。報告書で、各電力会社が暫定的な保管施設を作って核のゴミを保管すべきだと提言している点は、電力会社の責任を明確にしているので全体としては評価したい」と述べました。
一方で、鈴木教授は、暫定的な保管に頼って長期的な処理の検討が先送りされる懸念を指摘し、「現在、行き詰まっている核のゴミを地下深く埋めて処分するという国の計画に対し、代案となる計画についても検討を重ね、明確に示していく必要がある」と話しています。

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