御嶽山噴火1人死亡か、火山灰直撃16人意識不明
巨大な噴煙がごう音を響かせ、もうもうと立ち上り、岩と火山灰が多くの登山客を襲った。27日午前11時53分ごろ、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん、3067メートル)が噴火した。山頂付近の山小屋は厚い灰に覆われ、複数の人が生き埋めになった。長野県によると、少なくとも16人が意識不明に。重傷者は32人で、死亡者がいるとの情報もあり、県警が確認を急いでいる。「あと少し遅れていたら…」。下山した人たちは青ざめた表情でへたり込んだ。
鈍い地響き、ごう音とともに噴煙が上がる。紅葉が美しかった視界は一瞬で真っ暗になった。下山した登山客は服を灰まみれにしたまま、恐怖の瞬間を振り返った。
噴火が起きた頂上付近。山小屋近くにいた愛知県豊田市の会社員・山本道雄さん(54)は、熱風と硫黄臭で呼吸ができないほどに。避難した山小屋の屋根に石が大量に降り、屋根を突き破って床も貫通した。「小屋の外に2人が倒れているのを見た。灰をかぶっていて顔が見えなかったが…」と声を落とした。
長野県の団体職員の男性(56)は危険を感じ、山頂近くの神社の社務所窓を割って中に避難。30歳ぐらいの女性も運び込まれたが、意識がないように見えた。社務所では小学生ぐらいの子供が「おじさんと友達が埋まった」と泣きじゃくりながら話していた。下山するときには、倒れたまま動かない人が、3人ぐらいいたような記憶があるという。
山頂から少し下りた所でも、すごい勢いで空から噴石が落下。岩場に隠れた愛知県豊橋市の男性会社員(24)は「スイカほどの大きな岩も飛んだ。一歩間違えば死んでいた」。その後、火山灰が雨のように降り、「痛くて目も開けられない。灰が口に入って呼吸が苦しかった」と振り返る。
9合目付近は下山途中や食事休憩の登山客らでにぎわっていた。新潟県妙高市の専門学校生・伊藤美栄さん(39)は「ドーン」というごう音を聞いて振り向くと、灰色の煙が高々と上がっていた。目の前は一瞬のうちに火山灰で覆われた。「天気が良く紅葉もきれいだったが、一瞬で死を覚悟した」
下山中だった名古屋市東区の公務員・舟越茂雄さん(56)は、背後で煙が上がるのを仲間が見つけ、近くの山小屋に避難した。「あと1時間遅かったら危なかった」と疲れた表情で話した。