2014年9月29日06時56分
巨大な噴煙の下、モノクロの山腹を捜索隊が登った。厚さ50センチにもなる火山灰。山頂付近で31人が心肺停止で見つかり、うち4人の死亡が確認された。残る人たちの救出活動は二次災害の恐れから中断に。ふもとで待つ家族らは「どんな情報でもいい。手がかりを」と声をふるわせた。
長野県木曽町の旧町立上田小学校に28日午後6時すぎ、長野県警のワゴン車が止まった。捜索隊が28日、御嶽山の山頂付近で発見した心肺停止状態の登山者31人のうち、ふもとまで搬送することができた4人が運び込まれた。
登山者の家族向けに町役場に設けられた待機所には、約60人が詰めかけた。行方不明者の情報が得られず、家族らの不安と焦りが募る。「情報がほしい」「誰が不明か具体的なことを教えて」。警察官に涙ながらに訴える人もいた。
長野県東御市の無職荒井寿雄さん(72)は28日、次男の会社員真友(まさとも)さん(42)=同県諏訪市=の安否を確認するため木曽町役場に駆けつけた。携帯電話がつながらず、メールを送っても返事がない。
一緒だった友人2人は下山したと聞き、次男も無事と信じていた。だが、自宅にいた妻に、真友さんと一緒に登っていた男性から電話があった。噴火時、頂上付近の神社にいた真友さんの頭に噴石が直撃。意識がなく腰まで灰に埋まり、仲間が灰から引き出そうとしたが出せなかったという。「覚悟しています」。荒井さんは話した。
下山してきた登山者の避難所が設けられた長野県王滝村公民館でも、行方不明者の家族ら約40人が無事を祈った。
愛知県一宮市の会社員所清和さん(52)は、次男で会社員の祐樹さん(26)の行方が分からない。27日午後7時半ごろ、長野県警から「祐樹さんの車が登山口に止めたままになっている」と電話があった。携帯も通じない。妻喜代美さん(52)と28日未明に駆けつけた。
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朝日新聞社会部
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