スコアブック:第96回全国高校野球 大阪勢また勲章

毎日新聞 2014年08月26日 東京朝刊

 大阪桐蔭の優勝は、「野球どころ・大阪」に欠けていたタイトルをもたらした。夏の都道府県別勝利数が161となり、東京と並び1位になった。東西2校が出場する東京と異なり、大阪の代表は基本的に1校。トップだった優勝回数も12に伸びた。

 府内でライバルたちが切磋琢磨(せっさたくま)してきた歴史の連なりに、大阪桐蔭の躍進もある。大阪桐蔭の目標はPL学園だった。プロ野球・巨人などで活躍した桑田、清原を擁し、1983〜85年に優勝2度、準優勝1度。その時期を知る大阪桐蔭の西谷監督は「どうしても勝てない存在だった」と振り返る。だからこそ、乗り越えようとした。98年秋に就任した有友茂史部長は「PLは選手層が厚くて、下級生の練習時間が比較的少ないという。だからうちは下級生に雑用はさせず、練習させることにした」。地道なことだが、少しずつ優秀な選手が集まり始めた。

 そして今、大阪桐蔭は黄金時代とも言える時期にある。全盛期のPL学園を支えた中村順司元監督(現・名古屋商大監督)も「同じ大阪の仲間としてうれしい」とたたえる。今春のセンバツで準優勝した履正社など全国的な強豪が目白押しの大阪だが、実は欠けているタイトルがある。それはセンバツの優勝回数だ。現在は2位の9回で、1位・愛知との差はわずかに「1」。来春のセンバツで大阪勢の勲章がまた増えるのか。楽しみだ。【岸本悠】

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