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シゴトノオト
シゴトがうまくいくヒントがありそう!人気のコノ人に「シゴト」について聞きました
月曜更新
はやみあかり1995年3月17日生まれ、東京都出身。女優としてのキャリアを中学生時代にスタート。今年は映画『百瀬、こっちを向いて。』で初主演を果たし、自身の感性を込めた快演に高い評価が集まっている。現在放送中のNHKの連続テレビ小説『マッサン』では主人公の妹・すみれを好演中。主演映画『忘れないと誓ったぼくがいた』は2015年公開!
頭で考えるより
身体や感覚で覚えるタイプです
女優・早見あかりは「私を知らない人が『お、この子、面白いな』『この女優、嫌いだな』と、
何かを感じてくれるのがうれしい」、そう言う。
楽しさをベースに、女性として女優としてはまだまだ発展途上で大器晩成。
でもひょっとして、現時点ではそれこそが彼女の魅力や美しさなのかもしれない。
まだ19歳。今後、どういう階段を登ってゆくのか。目が離せない。
原点はピュアな好奇心
小さい頃はお花屋さんになりたかったんです。雑誌やテレビ、その中にいる人のことは「カッコいいな、かわいいな」と憧れていましたけれど「芸能界に入りたい!」みたいな意識はなかったですね。でも、小学校6年生で今の事務所にスカウトされて、担当の方の名刺をいただいたんです。その名刺の裏にはそうそうたる所属タレントさんの名前が並んでいて「もしかしらたらアノ有名人に会えるかも」くらいの淡い期待と、「カメラテストを受けてもらいます」と言われて「プロのメイクさんにメイクされて、プロのカメラマンさんに撮られるなんて一生の思い出」というくらいの好奇心が、今思えばきっかけとなりました。
中学生になって実際に事務所に所属してから1年くらい、演技のレッスン、ダンスのレッスンをずっと重ねていました。「レッスンばっかりでつらくなかった?」「早く女優デビューしたかったでしょう」と、こういったインタビューで質問されることもありますが、そういう気持ちはまったくありませんでした。そもそも真剣にお芝居をすること自体が新鮮なことでしたし、滑舌の練習で早口言葉みたいなのを繰り返すのも面白かった。初めての経験ばかりで、どれも刺激的でした。友だちもできたし、終わってからご飯に行くのも含めて楽しい時間だったな、と思います。その時期に楽しんでレッスンをできたことは、自分の大切な部分になっている気がします。
「シゴトは何でも楽しい」
ブレないシゴト観を胸に
シゴトは楽しいです。スケジュールが詰まると、友だちに会えないとか、大好きなお母さんとゆっくり話ができないという、つらい部分はありますが、結局「楽しく」ないと続かないと思っています。「シゴトだ」と理解していても、あえて意識しないようにしていますし、嫌になってしまうような怖さもあるからです。もちろん、遊びだと思って適当にやっているわけではありません。同時に、楽しいと思えなくなったら終わりとも思っています。だからいつでも楽しんでシゴトしています。重い話でもせつない場面でも、自分と違う人物や人格を演じていることに楽しさは感じていたい。というのも、私は「シゴト」というとらえかたをすると、ものすごく考え過ぎてしまうクセがあるんです。たとえば、ひとつ役をいただいても「この子はどんな性格の子なんだろう? どういう風に生まれて、何が好きで、何歳のときにどういう経験をして……」とつきつめて考えてしまう。それ自体は悪いことではないのかもしれないけど、それでつくり上げたイメージに監督とのズレがあったときに、もう修正できなくなってしまうんです。ドラマ『アゲイン!!』では、早い段階で団長(宇佐美良子)のイメージを監督に相談しました。李(闘士男)監督は「女性は普通、曲線的な動きが多いけど、団長は直線的な動きがメインだから、それを意識してほしい」という具体的なイメージをくださいました。それを聞いてからは、学ランを着ているときは、ガニ股で歩くとかが自然と身につくようになってきました。ドラマが進むにつれて「団長だったらこうするだろうな」と、その先までの想像が膨らむようになった。頭で考えるよりは、身体や感覚で覚えるほうが向いているのかもしれません。たぶん、不器用なんでしょうね。
「あんたは間違えるべき」
大先輩の言葉に導かれ
NHKで連続テレビ小説『マッサン』が始まりました。着物を着て長時間動く、ということ自体に慣れなくて大変……で、最初は下駄を履いて歩くのも難しかったのですが、1日中履いているとスタスタと走れるようになっていました。新しい自分を発見してうれしくあったりします。それでも、所作や方言で気をつけなければいけないことはたくさんあって、とにかく覚えることは多く、それが楽しいです。カメラの回っていない部分でも私はいちばん年下で、気を使うのかな、と覚悟していたのですが、現場のみなさんは本当に優しいんですよ。ある場面の本番でテンパって、広島弁で言うべきセリフを標準語で言ってしまい、NGを出してしまったんです。
すかさず(泉)ピン子さんが笑顔で近づいてきて「やったねえ」と、一言。そして「いいのよ。あんたは若いんだから、間違えてナンボ。ある意味では間違えるべきなんだから」とおっしゃってくださいました。感動しました。大先輩に接していただけるのは、役者としてはもちろん、ひとりの人間としても本当に大きなことです。ピン子さんはあれだけのキャリアがあるのに、今でも本番前は緊張するそうなんです。「緊張しなくなったら女優は終わりだと思っている」とも。演技や女優って、どこまで行っても正解もゴールもない。本当にいい現場で伸び伸びと演技して、優しさと厳しさを勉強させていただいています。日々、勉強しながら、そしてそれを楽しみながらおシゴトを続けていきたいです。今はまだとても無理ですが、悪い役を演じて、観てくれた人が「早見あかり、大嫌い!」というような、とんでもない役とお芝居をできるようになりたいです。それができたら自分の中では「勝ち」ですね。そのときにはまた、次の目標ができるのかな。まずはそこの勝ちを目指して、頑張っていきます。
ドラマは、大阪が日本一華やかだった、明治から大正にかけて、国産初のウイスキー製造に情熱を注いだ「マッサン」こと亀山政春と、妻・エリーの「国境を超えた壮大な愛の物語」。早見あかりさんはマッサンの妹・亀山すみれを演じます。
■作/羽原大介 ■出演/玉山鉄二、シャーロット・ケイト・フォックス、八嶋智人、相武紗季、西田尚美、早見あかり、濱田マリ、夏樹陽子、高橋元太郎、白井 晃、江口のりこ、及川いぞう、前田 吟、西川きよし、泉ピン子、堤 真一 ほか