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先日、明治大学中野キャンパスにて「ABPro 2014」というイベントが開催された。
プログラムの発表会、というと敷居が高そうだが、ここで掲げられているのは「普通じゃないプログラム」。要は技術者による一発芸大会みたいな感じである。 「我々が目指すのは,人を驚かせ,笑わせ,幸せにするようなプログラム」という公式アナウンスどおり、媒体としてはコンピュータや電子デバイスを使っているけれども、やっていることはほぼギャグや曲芸である。 そんな素敵な発表会に参加してきたので、その様子をレポートさせていただきます。 > 個人サイト nomoonwalk まずは例として、1作品ごらんいただこう。
警告ダイアログをより警告っぽく会員登録フォームなんかを入力していて、入力忘れがあると警告のポップアップ画面が出てくることがある。あれが警告ダイアログだ。
こういうやつ
「これ、警告なのに可愛すぎない?」というのが、発表者の問題提起である。プレゼン冒頭でいきなり、だ。
たぶん読者の皆様はぜんぜん共感できていないことだと思う。でもこの時点では僕も、聴衆も同じで、みんな「いや、べつに……」という感じなので安心してほしい。 ちなみに会場は大学の講堂で、めちゃくちゃ広い。
そんな広い会場を置いてきぼりのまま、プレゼンは動作デモに突入する。実際に動作している様子をどうぞ。
※盛大に音が出ます
けたたましい警告音とともに画面を覆いつくす警告表示。今までの警告がいかに手ぬるいものであったか思い知らされる。
これは明治大学理工学部の松井集さんの作品。「可愛すぎない?」という問題提起に賛同できなかった方も、今これと比べてみると「たしかに…」という気分になっているのではないか。 こういう一発ネタっぽいプログラムが30本以上、続々登場するイベントなのである。 そのペース、3〜5分に1本。休憩なんかも挟むけど、瞬間最大風速で時速20ネタ出てくる。 すごい情報量。 いちおう技術的な内容も登場するが、わからなくても差し支えない
ちなみに上の警告ダイアログ、ブラウザのアドオンになっており、同じタイプの警告を出すすべてのサイトで有効になる。邪魔くせえ。
音ゲー激戦区つづいてもどんどん作品を紹介していこう。音ゲー(音楽ゲーム。ビートマニアとか太鼓の達人みたいなやつ)ネタがなぜか激戦区で、秀逸な作品が2つ登場したのでご紹介したい。
流しそうめんで音ゲー音ゲーの基本ルールはこうだ。
・上からなんかバー(とか矢印とか)が落ちてくる。 ・バーが画面下部にあるラインと重なった瞬間に ・バーに対応するボタンを押す スライドより、音ゲーの画面
これが音楽のリズムに乗せて行われるので、音ゲーと呼ばれる。
ここでおもむろに、「バー」を「そうめん」に、「対応するボタンを押す」を「食べる」に置換してみよう。 ・上からなんかそうめんが落ちてくる。 ・そうめんが画面下部にあるラインと重なった瞬間に ・そうめんを食べる これが流しそうめん音ゲーである。 この共通点に気づいたのは天才的
ここまできくと、画面の上からそうめんのCGが落ちてくる音ゲーでも作ったのかと予想してしまうが、彼はもう一歩先を行っている。
なんと実機です
そうめんはオートメーション化されており、音ゲーのタイミングに合わせて自動的にレーンに投入される。
その様子は、会場でも上映されたこの動画に収められている。 作者は@gutugutu3030さん。
4レーンはめまぐるしすぎて人間が到底キャッチできるレベルではないし、流すほうも、機械の投入ペースが早すぎて麺の補充が間に合わないなど、突っ込みどころは山ほどある。しかし、その突っ込みどころの多い荒削り感までひっくるめて、この発表会の魅力なのである。 振り向きを取り入れた音ゲーもうひとつは、音ゲーのボタンを押す動きに加えて、振り向きの要素を取り入れたものだ。明治大学宮下研究室、金井達巳さんの作品。
ボタンを押すバーのほかに振り向きバーが落ちてくる
振り向きバーが落ちてきたら、後ろを振り向かないとミスになってしまう。
なぜ「振り向き」かというと、一般的に音ゲーは画面のほうを見てプレイするが、難所をうまく切り抜けた後などは、後ろを振り向いてオーディエンスにアピールしたくなるものらしい。そこで実際に振り向いてしまうと自意識過剰であるとしてウザがられるのだが、このゲームならそんな振り向き欲求も自然に満たすことができるというわけだ。 画面左上のアスキーアートには、振り向いている様子がカメラの映像で合成される
実際のプレイの様子を見ていただこう。
ちなみに振り向いたかどうかは、振り向いた先にあるカメラの画像を、顔認識することで判定しているらしい。
この人たち、笑いをとるために、高度な技術を惜しげなく投入しているぞ。 と同時にスライドにはこういうプリミティブなギャグも混ぜ込まれてくる
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