こどものサッカーと野球に対しての人気が逆転して久しい。
今は少年野球チームよりもはるかに多い少年サッカーチームがあると聞く。
自分がこどもの頃には考えられなかったことだ。
今も高校野球はそれなりの人気があるが、いずれ高校サッカーの圧倒的人気の前に、淋しく霞んでいくのだろうか。
サッカーは野球と違って、明確な攻守の切り替えがあるわけではない。
ルールもオフサイド絡みを除けばいたってシンプル。
反対に野球はルールも多く、複雑で、1イニングに裏と表、すなわち攻めるときと守るときが平等に必ず確保されている。
サッカーには一方的に攻めることや、一方的に守るというシチュエーションことが多々ある。
試合の最初から最後までひたすら防戦一方ということもありえるスポーツなのである。
シンプルであるからこそ、深い。
そして不平等も当たり前の世界なのだ。
サッカーの試合傾向は、ボールポゼッション、つまりボール支配率という具体的なデータからある程度読み取ることもできる。
支配率が低いからといって押されているとは限らない。
あえてボールを持たせる、わざと動かせることによってミスを誘いカウンターの機会をうかがう戦法などもあるからだ。
とかくサッカーに置いては、この戦術は非常に重要なウェートを占めている。
ポゼッションが低いから不利だったとは言い切れない側面がある。
しかしこの数字や、シュート数、反則の数、パス本数、パス成功率…なんかは、複合的に読み取ることで、どちらが攻めており、どちらが防戦だったかという大まかな試合の様子をも、ある程度正確に読み取ることができると思う。
日韓大会の日本対ロシアの試合。
この試合で日本は歴史的なワールドカップ初勝利をあげた。
試合はもちろんテレビで食い入るように見ていた。
結果を先に書くと1-0で日本の勝利、稲本があげた決勝点を最後まで守り切ったのだ。
この試合のポゼッションはほぼ互角で、ややロシアに分があったと記憶している。
シュート数はロシアのほうが多かったのではないか。
あと、これはなぜかはっきりと記憶しており、自分でも非常におかしいのだが、日本のシュートは9本で、枠内に飛んだのが1本。
つまりワンチャンスを見事に活かしきったということである。
後半中盤に、バーにぶつけるヒデの、見事としか言いようがないほど美しいミドルシュートもあったが、あれも記録上は枠外扱いになることを初めて知ったりもした。
総括すると、ややロシアが押していたが、日本がワンチャンスを生かして守りきったということなのだろうか。
さて、ボールポゼッションが極端に低い試合というものは知らない。
国際試合等については、大体においてそれは6:4~5.5:4.5辺りに落ち着いている気がする。
5.5:4.5でもそれはごく優位的に相手を押していると見られる。
6:4になるともうそれは「圧倒的」という言葉がついてくる。
これが、例えば8:2とか9:1なんかの試合で、かつロースコアのゲーム...って存在するのだろうかと、ふと思った。
国際試合においてだ。
こういうのがあるのか調べてみたくなったので早速検索をしてみた。
が、なかなか思うような結果を得られない。
そこで自分の記憶の中にある国際試合の中で、圧倒的にどちらかが押しまくっていたロースコアの試合という縛りをつけて、脳内検索をかけてみた。
まず浮かんだのが有名なアトランタオリンピックでの日本対ブラジルの一戦。
この試合のポゼッションなんかを調べて見ることにした。
あの試合は福井の「原発のある海」に海水浴場に行ったときに、彼女と二人でひやひやしながら見ていたものだ。
記憶が曖昧になりがちなシチュエーションではあるのだが(笑)、なぜか割とリアルに細部までを記憶している。
観戦していて感じたことだが、もうこれはリンチ以外のなんでもないと思った。
猛攻という言葉があるが、1点を追うブラジルのそれは、猛攻さえもはるかに超越していた攻撃だったと思う。
後半終了間際は、まさに殺してまで点を取るといわんばかりの迫力だった。
おびただしい数のシュートの雨あられと言うがまさにその通りだ。
川口は短時間の間に、良くあんなに十何本も連続して枠内シュートを弾き返したものだと、ひたすら感心する。
川口はポカもあるが、集中したときに、あり得ない神業のようなことを思いがけなくしてしまうという摩訶不思議な選手なのだ。
その神業が、ある程度継続できていたならば…と残念に感じる。
ムラが大き過ぎた。
さてさて、あの試合のポゼッションだが、公式記録を調べるがなかなかスカッとした明快な答えが出ない!
大まかに言うと、7:3程度だったという記述が殆どである。
先のロンドン五輪でスペイン代表を1-0で破った試合の支配率については、五輪のHPに「35%」と記録してあった。
それを考慮して自分で考えてみた。
観戦日時についてかなり大きな隔たりがあり、ついては記憶の鮮明さという点での正確性にも著しく欠けると思うし、一概に比較できないのだが…それでもともに観戦したものとしてのごく主観的印象としては、アトランタのブラジル戦のほうがはるかに支配率が低かったと思う。
ごく単純な印象としてだが、ひょっとしたら30%を切っていたのかもしれないと感じる。
ブラジルのシュート数28本、日本4本という具体的数字はかなり多く出てきたので、これが公式記録なのだろうと思う。
ダイジェスト動画を見ていただけると何となくその様子はわかると思うが、フルで生観戦していた率直な印象としては、「体に悪い」以外の何もので真ないと思う。
血圧、心臓などにウィークポイントを抱える方が見るべきものではない。
さてさてさて、先月だったか、バルセロナとスコットランドのセルテイックの一戦。
終了間際の得点でバルサがセルティックを2-1で振り切ったものの、その試合のバルサのボール支配率は90%だったという。
パス本数954本。
圧倒的に押しまくっていた以外の何ものでもない。
が、スコアはかろうじての2-1なのである。
「宇宙的チーム」はあわや、圧倒的に押しまくりながらも格下チームに対して引き分けるという大失態を演じるところだったのである。
サッカー 日本 VS ブラジル マイアミの奇跡 アトランタ五輪 (1996年) - YouTube