御嶽山噴火:ぺしゃんこザック、命守ってくれた
毎日新聞 2014年09月28日 22時22分(最終更新 09月29日 01時03分)
御嶽山の山頂付近で噴火に遭遇、岐阜県側の「五の池小屋」で一夜を過ごした女性登山者3人が28日、下山し、必死に逃げた様子を報道陣に語った。千葉県松戸市と栃木県日光市の65〜73歳の3人で、2人は姉妹でもう1人は友人。27日昼、山頂付近の神社の社務所裏側で、3人が昼食を取ろうとザックを下ろした時、爆発音が聞こえ、噴煙が上がったという。【山本佳孝、金寿英、飯田和樹】
「逃げろ!」。大声が聞こえたので、社務所のひさしの下に入り、うつぶせになった。次々に他の登山者が折り重なり、その上に火山灰や岩が降った。
自分の足は膝から下が火山灰で埋まり、身動きしなくなった人が覆いかぶさっていた。他の人が灰をかき出してくれ、社務所内に逃げ込んだ。だが火山灰で社務所内も真っ暗になり「これで熱くなったら……」と死を覚悟したという。噴火直後にいた地点から徐々に北側に移動。途中で小屋の人に「二ノ池方面に行け」と言われ、五の池小屋までたどり着くことができた。
頂上付近の様子について女性の一人は「少なくとも3人は(火山灰に)埋まっていた。灰の中からリュックだけ、背中だけ、ストックだけが見えている人がいた」と語った。
別の女性は、頭を守ろうと上にかざしたザックの中で、噴石が直撃したのか、魔法瓶がぺしゃんこになっていることに後で気付いたという。「魔法瓶が、ザックが、私の命を守ってくれたんだと思います」と話した。