御嶽山噴火:「娘が危篤」声を落とす父、情報求め
毎日新聞 2014年09月28日 22時53分(最終更新 09月29日 06時54分)
長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で28日、登山者ら男性4人の死亡が確認された。山頂付近は一面、深さ40〜50センチの火山灰が覆い、今も27人が意識不明のまま倒れている。「なぜ、こんなことに」−−。安否確認ができない登山者の家族や友人からは、沈痛な声が漏れる。山小屋に避難するなどし恐怖とともに一夜を過ごした登山者たちは同日、次々に下山した。【神保圭作、黒川晋史、近藤隆志、藤河匠、一條優太】
御嶽山の山頂付近で心肺停止状態で見つかった31人のうち男性4人は警察官らにかつがれ、28日夕までに長野県側のふもとに到着した。4人とも灰色のビニールで覆われ、木曽町の旧小学校校舎に運び込まれた後、死亡が確認された。安否確認ができない登山者の家族らは公民館などに集まり、登山者の所持品確認などに追われた。
陸上自衛隊松本駐屯地によると同日、9合目以上の場所で火山灰の中に倒れている人が、目視で10人以上確認されたという。倒れていた31人のうちの一部とみられる。噴煙や険しい地形のため自衛隊員は近づけなかったが、いずれも動く気配がなかったという。王滝頂上山荘や剣ケ峰周辺では火山灰が50センチ近く積もっている。灰に埋もれたままの人もいたという。
「うちの子供は埋まっている。息子には申し訳ないが、私も覚悟した」。友人2人と一緒に御嶽山に登っていた長野県諏訪市の荒井真友さん(42)の父寿雄さん(72)=同県東御市=が力なく話した。
友人が、寿雄さんの妻に噴火当時の状況を説明した。それによると、真友さんは岩のようなものが頭部に当たって出血。頂上の神社付近で体が灰に埋まってしまった。友人2人が助け出そうとしたが、真友さんの体は動かなかったという。
寿雄さんは「一緒だった友達は申し訳ないと思っているかもしれない。友達には、いままで付き合ってくれてありがたいと思わなくてはならない」と気遣っていた。
「娘の状態が危篤と聞いているので心配で。何か情報はないですか」。山頂に向かう登山ルートの一つ、黒沢口がある長野県木曽町の役場で、西東京市から駆けつけた男性(64)が声を落とした。
長女の女性公務員(35)は27日、大学時代の友人2人と計3人で御嶽山に登った。噴火後、「逃げる途中に(女性が)足をけがして動けなくなった」と友人から連絡があったという。