2014年9月29日05時35分
御嶽山の噴火をふまえ、日本の山を登る際にはどんな備えをすればよいのか。火山灰が飛散する地域に住む人たちは、健康を守るためにどうしたらよいのか。
日本登山医学会の野口いづみ理事は「火山を歩いているという意識を持ち、地震などの情報にアンテナを張る必要がある」と指摘する。ただ、「日本では火山性地震などの情報提供が手薄な印象がある」と語る。
学会の増山茂副会長は「噴火警戒レベルが上がっていれば別だが、規制のない状況で『行くな』というのは難しい」と話す。
登山中に噴火に見舞われたら、リュックを頭に乗せたり、衣類やタオル、雨具などで目、鼻、口を覆ったりすることで、噴石や熱風によるダメージを和らげることができる。落石や滑落から頭部を守るヘルメットの着用も有効という。一時退避ができる小屋やシェルターの位置を常に確認しておくべきだとしている。
火山灰は直径2ミリ以下の火山岩の粒子で、大量にさらされると健康に影響が出ることもある。
防災科学技術研究所が作成した「火山灰の健康影響 地域住民のためのしおり」によると、大量に吸い込めば健康な人でもせきや鼻水、のどの痛みといった症状が出ることがある。ぜんそくや気管支炎がある人は、せきの発作や息切れも起きかねないという。目に入ると角膜に傷ができたり、結膜炎になったりする。コンタクトレンズは外し、メガネやゴーグルをかけるとよいとしている。
桜島火山の健康問題に詳しい秋葉澄伯(すみのり)・鹿児島大医学部教授は「降灰時には外出せず、外に干した洗濯物を取り込み、窓を閉めるとよい」。帝京大大学院公衆衛生学研究科の矢野栄二教授は「やむなく外出する際はマスクをしてほしい。硫黄のにおいがすれば、マスクを湿らせると効果的」と助言する。
■火山灰から身を守るには
・降灰時には車の運転を控える
・可能な限り、すべてのドアと窓を閉める
・外出時にはマスクをつける
・降灰時にはコンタクトレンズではなく、メガネやゴーグルをつける
※防災科学技術研究所作成「火山灰の健康影響 地域住民のためのしおり」から
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朝日新聞社会部
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