御嶽山噴火:4人死亡、27人心肺停止…山頂付近で発見
毎日新聞 2014年09月28日 21時22分(最終更新 09月28日 23時05分)
長野、岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)(3067メートル)の噴火で、長野県警は28日、山頂付近の登山道周辺で登山者ら31人が倒れており、ふもとの木曽町に運んだ男性4人の死亡を確認したと発表した。他の27人は心肺停止の状態だが、噴火に伴う有毒ガスの影響で同日中の搬送は断念した。火山災害で犠牲者が出たのは、1991年と93年の火砕流で計44人が死亡・行方不明となった長崎県の雲仙普賢岳(1359メートル)災害以来。
警察や自衛隊、消防などは28日早朝から、計約500人の態勢で救助活動を開始。救助活動には自衛隊の化学防護隊も参加し、ガスを検知しながら実施した。
陸上自衛隊松本駐屯地によると、9合目以上の場所で、火山灰の中に倒れている人を目視で10人以上確認した。噴煙や険しい地形で近づけなかったが、いずれも動く気配はなかったという。王滝頂上山荘や剣ケ峰周辺では灰が50センチ近く積もっており、灰に埋もれた人もいたという。
長野、岐阜両県警によると、負傷者は計40人で、ヘリコプターで搬送される人も相次いだ。長野県側では30人が病院に運ばれ、うち10人が重傷とみられる。岐阜県側では10人のうち2人が骨折の重傷。長野県警などは29日も取り残されている人がいないか確認作業を続ける方針。岐阜側での救出活動は完了した。
御嶽山の噴火は2007年以来7年ぶり。気象庁は噴火時間を1分早い27日午前11時52分と修正した。週末に合わせ、御嶽山の山頂付近は約250人の登山者でにぎわっていたとされる。長野県や岐阜県警によると、28日までに長野側に計136人、岐阜側に計52人が自力で下山した。
国土交通省は28日午前、御嶽山の上空をヘリコプターから調査し、火山灰が東へ約5キロ以上飛散していることを確認した。噴火口は山頂南西側に3カ所あり、うち東側の1カ所から火山灰の噴出が続いているという。同省国土技術政策総合研究所の国友優・土砂災害研究室長は「通常の雨量なら、住宅などに被害が出る土石流が起きる可能性は低い」との見解を示した。【福富智、川辺和将、巽賢司、三上剛輝】