できごと
【河村直哉の国論】社長謝罪の形で慰安婦誤報を隠した朝日新聞 「広義の強制性」スタンス変えず
朝日新聞の木村伊量(ただかず)社長らが9月11日夜、会見し謝罪した。評価するとともに、なお批判を述べる。
慰安婦での謝罪は付け足しか
会見は、東京電力福島第1原発の故吉田昌郎(まさお)元所長が政府事故調査・検証委員会に答えた、いわゆる「吉田調書」などが政府によって公開されたのに合わせて行われた。朝日は5月、「原発所員、命令違反し撤退」と大きく報じ、第1原発所員の9割が吉田元所長の待機命令に反して福島第2原発に撤退したとした。これを海外のメディアが「パニックになって逃げた」などと引用し、原発所員の名誉を傷つける事態となっていた。
しかし調書を入手した産経新聞は8月18日、命令違反の撤退はなかったと報じ、読売なども同様に続いた。それが事実である。会見で木村社長は「命令違反し撤退」の記事を取り消すなどとし、12日付朝刊でも社長名で「みなさまに深くおわびします」とする記事を載せた。慰安婦報道についても、慰安婦を「強制連行」したという故吉田清治氏の虚偽をもとにした誤報と、訂正が遅きに失したことを謝罪した。朝日は8月5日の自社検証で故吉田清治氏の記事を取り消すとしたが、謝罪はしていなかった。
吉田元所長、そして原発所員の名誉が回復されるきっかけになるという点で、評価したい。しかし批判したいのは、慰安婦報道での謝罪が、「吉田調書」での謝罪の付け足しのように行われていることである。
日本の名誉を傷つけ…なお、「広義の強制性」変えず
慰安婦報道で朝日が明確な謝罪をしないことに対して、ごうごうたる非難が各方面から起こっていた。吉田調書が公開されるのを機に一気に、と考えたのかもしれないが、いかがなものか。
会見で木村社長は、再生に向けて道筋をつけたあと進退について決断する、としたが、それは吉田調書の問題が中心であると述べている。慰安婦問題での謝罪は「たまたま今日、こういうことでありますので。今日はいわゆる吉田調書についての会見ということで皆さまにお集まりをいただき、合わせて、ご説明をさせていただいた」と。
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