戦前に李香蘭の名前で知られた山口淑子さんが9月7日、心不全で亡くなった。94歳だった。
山口さんは1987年、「日中国交回復できて、日本と中国が仲良くなっていくことがうれしいことです」と語った。
中国に渡った日本人夫妻の長女として、1920年に中国で生まれた山口淑子さんは、日本人であることを伏せ、李香蘭の名前で女優デビューした。
「蘇州夜曲」などがヒットし、美貌と美声で、日中両国でたちまち人気となった。
しかし終戦後は、日本に内通した中国人として疑われたこともあった。
帰国後は、山口淑子の名前で活躍し、映画やハリウッドにも進出した。
プライベートでは、2度の結婚を経験し、1958年、一度は芸能界を引退した。
そして再度復帰したのは、フジテレビ「3時のあなた」の司会だった。
1974年には参院選に初当選し、環境庁政務次官など、3期18年務めた。
激動の人生を歩んだ山口さんの半生は、たびたびドラマ化された。
ドラマ「さよなら李香蘭」で山口淑子さん役を演じた沢口靖子さん(49)は「25年前に、山口さんの半生を演じさせていただきました。女優として、歌手として一世を風靡(ふうび)された裏で、日本と中国のはざまで、大変ご苦労されたことが思い起こされます」とコメントした。
上戸 彩さん(29)は「ドラマで山口淑子さんを演じさせていただく際に、一度お会いさせていただきました。戦争に翻弄(ほんろう)されても、凜(りん)とした気品の方で、とても美しかったです。女性として憧れです」とコメントした。
晩年の山口さんは、家の中でも車いすで生活していたといい、2年ほど前から外出することもほとんどなかったという。
山口さんの葬儀は、すでに身内だけで執り行われたという。