山口淑子さん死去 94歳 本籍・北方町
2014年09月15日 10時00分
戦前は「李香蘭」の名で知られた大スターで、戦後も女優、歌手として国際的に活躍した元参院議員の山口淑子(やまぐち・よしこ、本名大鷹淑子=おおたか・よしこ)さんが7日午前10時42分、心不全のため東京都千代田区一番町20の10の507の自宅で死去した。94歳。中国生まれ。本籍は武雄市北方町。告別式は親族で行った。
旧満州(現中国東北部)で育ち、1938年に日本人であることを伏せて李香蘭として映画デビュー。日本でも長谷川一夫さんと共演した「白蘭の歌」「支那の夜」などの映画がヒットし、日中両国で絶大な人気を集めた。歌も「支那の夜」の主題歌「蘇州夜曲」や「夜来香」などが大ヒット。41年に開いた東京・日劇での公演はファンが劇場を取り巻く騒ぎとなった。
終戦時は日本に協力した中国人として収容されたが、46年に帰国。日本名「山口淑子」に戻って芸能活動に復帰し、池部良さんと共演した「暁の脱走」や黒沢明監督「醜聞(スキャンダル)」などで高い評価を確立し、米国映画やブロードウェーミュージカルに主演するなど国際的にも活動の幅を広げた。
69年4月からフジテレビ系ワイドショー「3時のあなた」のメーンキャスターを担当。74年、参院選に当選して連続3期務め、環境政務次官などを歴任。中東問題をはじめとした国際平和や従軍慰安婦問題などに熱心に取り組み、女性のためのアジア平和国民基金でも活動した。
87年出版の自伝「李香蘭 私の半生」がベストセラーとなり、テレビドラマや劇団四季のミュージカルになるなど、戦乱期に揺れ動いた人生があらためて注目された。
51年に世界的な彫刻家イサム・ノグチさんと結婚したが、56年に離婚。58年に外交官の大鷹弘さんと再婚した。
■優しく人情深かった
女優司葉子さんの話 私が東宝に入った当時、山口淑子さんは近寄りがたいほどの大スターでした。でも撮影所のメーク室でお会いすると、とても優しく、縁談をくださったこともあります。私の主人(相沢英之・元衆院議員)の選挙応援に遠くまで来てくださるなど人情深い方でした。最近は体調が良くないと聞いていましたが、主人と食事をという話もあったので訃報に驚いています。満州でのご苦労も含め、幅の広い人生をまっとうされたのだと思います。