戦時中は歌手・女優の李香蘭(り・こうらん)として知られ、戦後は日本で活動、参院議員も務めた山口淑子(やまぐち・よしこ、本名・大鷹淑子=おおたか・よしこ)さんが7日午前10時42分、心不全のため都内の自宅で亡くなった。94歳だった。葬儀・告別式は親族で済ませた。
大正9年、旧奉天(現瀋陽)郊外の北煙台生まれ。両親は日本人。単身、北京に留学して女学校を卒業した後、昭和13年に満州映画協会の専属女優となって、中国人「李香蘭」として映画デビュー。歌手としても「夜来香」などがヒットし人気を集めた。日本映画「支那の夜」「熱砂の誓い」などにも出演している。上海で終戦を迎え、売国奴の疑いで裁判にかけられるが、日本国籍であると証明され帰国した。
戦後は日本で山口淑子として映画出演を中心に芸能活動を再開し、米国でも「シャーリー・ヤマグチ」として活動。彫刻家のイサム・ノグチ氏との結婚、離婚を経て、外交官の大鷹弘氏と再婚した。33年の「東京の休日」を最後に映画界から引退する。
44年から5年にわたり、フジテレビ系のワイドショー「3時のあなた」で司会を務め、取材でたびたび中東を訪れた。49年、自民党から出馬して参院選に当選し、3期18年務めて環境政務次官などを歴任。著書に「李香蘭 私の半生」(藤原作弥氏との共著)など。同書を題材に劇団四季が上演した「ミュージカル李香蘭」は大好評を得た。平成5年、勲二等宝冠章を受章した。