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事件
【御嶽山噴火】登山届“形骸化”し情報錯綜 難しい安否確認 「面倒だから提出しない人多い」
噴火から一夜が明け、御嶽山では自衛隊や警察、消防による負傷者らの救助活動が本格化した。ただ、登山者の安否をめぐる情報は錯綜(さくそう)した。登山者の安否確認が難しいのは、「登山届」を提出していない登山者が多く、警察などが登山者の正確な人数や個人名を把握するのが難しいためだ。また、御嶽山が長野、岐阜県境にあり、自治体が複数にまたがり情報の集約をしにくかったことも影響したとみられる。
長野県木曽広域消防本部は27日午後10時ごろ、御嶽山の噴火で「女性1人が死亡」と報道関係者に説明した。しかし、その後「根拠がない情報だった」として取り消した。負傷者の数をめぐっても、県や消防などで情報が食い違う場面もみられた。
「不特定多数が訪れる登山では、登山者の安否確認を百パーセント実行するのは残念ながら不可能だ」。長野県王滝村の担当者は、こう指摘する。
事故などの場合に登山者の捜索の重要な手がかりとなるのが登山届だ。登山者が氏名や住所、緊急連絡先、装備などを記載して登山口のポストに投函(とうかん)する。ただ、きちんと提出する人はそれほど多くはない。
御嶽山には長野、岐阜両県の計4ルートにそれぞれ設置されているが、登山条例で義務づけられている富山、群馬両県と違い、提出は任意だ。長野県では提出率を上げるため事前にスマートフォンでの提出も始めたが、同県木曽町観光協会の担当者は「面倒だから提出しない人も多い。半数程度しか提出していないのではないか」と話す。頂上まで登らないことから登山ではないと勝手に判断し、登山届を出さないケースも少なくないという。
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